蒲焼き

いよいよウナギのシーズン到来である。皆さんはガマの穂というのをご存知だろうか?葦のように水辺に生える葉の細く長い草で、その茎は先端に細長い10センチ位の円筒の茶色い穂をつける、生け花でもよく使うあれである!蒲焼は最初このガマの穂のようのに、ウナギをブツ切りにして縦に串を刺して焼いていた。形がガマの穂とそっくりなのでガマヤキと呼んでいたらしい。後に変化してカバヤキと呼ばれるようになったという。ウナギは縄文時代から日本人に食べられていて、五千年以上の歴史があるそうだ。今の蒲焼のようにウナギを開いて串に刺し、タレをつけて焼くようになったのは、江戸時代の後期、18世紀ごろからだと文献には書いてある。

そして東京では明治以降ウナギを裂いて串に刺し、白焼きにしてから蒸し器で蒸して、タレを付けて再度焼くようになった。ところが関西ではウナギの蒲焼は、江戸時代の作り方を継承し、蒸さないで直接タレを付けて焼くので、関東の蒲焼より少し固めである。私は関西でもウナギはずいぶん食べたが、どちらが旨いかは好き好きであるが、硬めで香ばしい関西の焼き方のほうがどちらかと言うと好みである。以前テレビで、このウナギの料理法の違いの境目は東海道のどこなのか?調べ歩くという番組があったが、名古屋の手前の焼き蛤で有名な桑名あたりで東西に別れるといっていた。するとあの最高に美味い名古屋のヒツマブシも当然、関西風の焼き方であるのか?

「もうーこのおばさん、いい加減にしてくれよ。客の前でさっきから一人でしゃべりっ放し、これじゃあ折角のウナギが台無しだ」以前神戸の三宮センター街の裏手にあるウナギ屋には、業者の人によく連れて行ってもらったが、ここはウナギの「樋まぶし」が有名であった!でも店主のオカミさんが真におしゃべり、こちらがウナギをじっくり味わっているのにサービスのつもりなのか?のべつしゃべりまくる・・・!お重の中はご飯と短冊に切られたウナギがニ段重ねで、ご飯には山椒の実がそのまま粒で混ざる。ゆっくりと嚙みしめるとプチュと山椒がつぶれ、ほど良い刺激が口に広がった。三分の一程残し、後は茶碗に取りダシをかけお茶付けに!

特にヒツマブシは関西の蒲焼に限る。関東の焼き方ではウナギが柔らかく、むかないのではと思った!(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

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