木の葉

これは私が子どもの頃、近所の友だちから聞いた不思議なお話。「あれー、変だ?また同じ場所へでたぞ、これで三度目だ!帰り道が分からない」立ち止まり思案していると、一匹の狐が前方を通り過ぎて行ったという。「そうか、こいつの仕業か?」思い直し意識をはっきりと森の道を進むと、今度は開けた場所に出られたという。「狐は人を化かすから気をつけろよ」と彼は父親から真顔で告げられたという。「そうか、狐は本当に人を化かすのか・・・?」とその時は思っていた。子供の頃(狐に化かされた)というこのフレーズは失敗の言い訳に、日常よく使われていた言葉である。しかし文献などによれば、1965年以降はパッタリ使われなくなったという。合理的に物事を考えることが庶民にも浸透すると、迷信として葬りさられていったようだ。

キツネは人を化かす事が得意だが、イリュージョンを巧みに操るタヌキも偉大な魔術師だった。日頃世話になる和尚のために木の葉を金に変え、子供に化けて酒を買ってくる。「狸はすげえ!俺も木の葉を金にできれば自転車買えるのに」とこの時タヌキにあこがれた・・・。話は変わるが先日あのフェースブックの社長ザッカーバーグ氏が、フェースブックのユーザーなら世界中どこでも使えるリブラという、仮想通貨の普及を呼びかけた。ところが各国の中央銀行からの猛反対で頓挫した。「そりゃそうだ!」紙切れを輪転機の中で魔法をかけると、あっという間に紙幣に変身!タヌキの木の葉と代わらない夢のシステム、国が手放すわけがない。実は我々も国に騙され、タダの紙切れをお金と信じて使っているのかもしれない?

「突然ですが今お金が病気!それも悪性の血液の病です。」お金は社会の血液というが、各国こぞって安易に紙幣や国債を大量に発行し続けたために血管に詰まって、随所で梗塞しているらしい。このままでは突然死は免れないというが、特効薬はすでに無い。「だから言ったじゃん、紙幣もタヌキの木の葉と同じで刷り過ぎると、いつかタダの紙切れだとバレル時が来るって!」そして数年後に通貨の問題で世界はヤバイことになる予感がする。代わりに通貨は紙からビットコインなど実体の無いデジタル通貨となり、スマホやカードで簡単に決済が完了し紙幣も消える・・・。「ホールドアップ」と赤いスカーフで口元を隠し拳銃を手に銀行に押し入り紙幣を奪う。昔映画のこんなシーンも懐かしい。今では銀行強盗も静かな場所でコーヒーを飲み、キーボードを叩けばスマートに完了だ。

先日セブンイレブンがセブンペイなる電子マネーでの決済を始めたが、数日でハッキングにあいデーターの金を抜かれ取りやめた。お粗末!やはり通貨は金貨が一番安全とタヌキも言っている!(勝田陶人舎・冨岡伸一)

© 2024 冨岡陶芸工房 勝田陶人舎