カツ重
私の住む千葉県市川市には誰が名付けたのか、通称北京通りという駅に向かう一方通行の狭い道がある。通勤時間帯には並行するバス通りを避けての迂回路となっているため、多くの自転車に乗った人たちで混雑する。特に京成電車と交差する踏み切りはボトルネックとなっていて、先を急ぐ銀輪の群れで非常に危険な状態がもう何十年も続いていた。テレビでも危険な踏み切りとして度々取材されていたので、ご存知の方もいると思う。この道の中ごろにはわが母校八幡小学校もある。そのため踏切の拡幅には行政も積極的に取り組んできたが、地権者の理解が得られずに延び延びになっていた。しかし最近用地の買収が完了し、やっと来月には拡幅工事が終了する。
もともとこの通りは文豪永井荷風が、菅野の自宅から八幡駅に通う道として親しまれていたので、地元では優雅に荷風通りと呼ばれていたのだ。それがいつの日か30年程前に改革開放の始まった頃の、中国北京の自転車で混雑した通勤風景にそっくりということで、北京通りという愛称に変わってしまった。でも今の北京ではもう自転車でなく自動車による混雑になったので、この呼び名も時代遅れとなっている。かの地では現在は排気ガスによる健康被害の方が深刻だ。そして春になるとまた西風に乗って黄砂やPM2.5なども飛んでくる。人口の多い大国の風下のリスク要因は色々あり、もし沿岸部に原発などが多く建設されると、事故のとき被害は自国より日本の方が大きくなる可能性が高い。
「アゲン、カツ丼!」先日テニスの全豪オープンで優勝した大阪ナオミさんの勝利インタビューでの「いま日本食で何が一番食べたい?」の問いかけに、答えた言葉がこれだった。カツ丼と言えば永井荷風もこの北京通りの踏み切りの脇にある、割烹料理屋(大黒屋)のカツ丼(実際にはカツ重か)をこよなく愛した。近くに住んでいた彼は晩年は毎日のようにこの店でカツ丼を食べていたという。確かにカツ丼は旨い!数ある丼飯の中でも三本の指に入るのは確実だ。私もカツ丼は好きで月一程度の頻度では食べている。でも同じカツ丼でも丼から、重箱に器が変わると値段も高くなり見た目も高級になる。料理と器のバランスは確かに重要だ。丼は持っても食べることもあるので、ご飯をかきこむ。でも重箱だとゆっくりと味わっていただくことになる!
土曜日の雪で、立花仕立ての鉢に白く雪が!
(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)