シュウマイ

シュウマイは焼き餃子よりも中国から日本に伝えられたのが早かった。明治時代にはすでに売られていたという。私が子供のころ近所の肉屋ではコロッケなどと共にシュウマイも販売されていた。ところがこの肉屋のシュウマイはコロッケと同じで肉が少なく、ほとんどがウドン粉の塊でモチモチしていて、あまり旨いとう記憶はなかった。しかしあるとき父親が熱海の旅行帰りに、横浜でシュウマイを買って帰った事がある。このシュウマイは見た目は小粒だが肉が多く、身が締まっていて嚙み応えもあり絶品だった。そしてこれが横浜崎陽軒のシュウマイとの最初の出会いであり、以来私は今でも崎陽軒のシュウマイのファンであり続ける。

現在では崎陽軒のシュウマイ(シウマイと書く)はデパートや駅ビルの食品売り場などで簡単に手に入る。ビールのつまみには、このシウマイが合うので時々は食べている。そして崎陽軒のシウマイで味と共に変わらないのが、あの磁器で作られた醤油入れだ!「しょうちゃん」と名付けられた小さな醤油入れは可愛いので子供の頃には捨てずに取っておいて、お習字の水差しなどに利用した。でも昔のしょうちゃんは磁器の材質も素朴で厚く重みがあって今のとは微妙に違う。そして栓にも本物のコルクが使われていた。しかし今のしょうちゃんは白く綺麗な磁器で軽い。栓もコルクからゴム製に変わった。でもシウマイ一筋で、ほとんどその形態を変えずにいる企業ポリシーは凄いことだと思う。

シュウマイといえばこのほか印象に残っているのは、もう半世紀ほど前になるが大阪難波の高島屋近くの大衆食堂で食べたシュウマイである。当時勤め始めた頃の私は先輩に連れられて、大阪の百貨店婦人靴売り場の市場調査に行ったことがあった。昼時になったので何か旨いランチをということで、案内されたのがその店である。人気店らしく列を作り10分程度待って席に着き、運ばれてきたのが「オー!えらく美しいシュウマイだ」そのシュウマイ色に驚く!皮が黄色、しかも中の具はピンク、この色のコントラストが素晴らしい。推測するとシュウマイ皮が薄焼きタマゴ、ピンクの中身は小エビの粗切りを煉ったものだ。噛むとエビの食感が伝わり、海老シュウマイが初めて旨いと思った。

実は当時この店ことは東京の本社でも噂になっていて、市場調査という名目でわざわざ先輩に連れられ出向いたのだ。高度成長の頃で儲かっていた会社の経費管理も甘く、すべてにゆとりがあったと回顧する。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

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