モグラ
さて今朝はどんなテーマで書こうか?思案していると突然グラグラっときた、が直ぐに収まる。「地震、雷、火事、親父!」日常生活において、怖いものを羅列した言葉がある。でも最近親父は怖い存在から完全に脱落したので、それに伴ってこの言葉も殆んど使用されなくなった。この中でも特に恐ろしいのは地震ではないだろうか?近年懸念されているのが、関東から九州にいたる太平洋岸で発生が予言される南海トラフの大地震であろう。太平洋プレートの沈み込みにより数百年に一度発生するこの大規模地震は、10メートル超の津波を伴う。太平洋沿岸の人口密度の高い地帯で発生するため、半数の日本人がなんらかの被害を受けるという。水の持つエネルギーは凄まじい。一瞬にして全てを失いその日から人生が変わる。ところが地理的に近い中国大陸沿岸部では殆んど地震はないと、人々は安心しきっている。
でも最近この中国で不気味な話が囁かれていると聞く。「あの巨大な三峡ダムが決壊するのでは?」宇宙から撮影するグーグル写真でダムの完成時と現在とを比べると、ダム堤防の数ヶ所が水圧で外側に明らかに湾曲している。でもこの事実、政府はいっさい問題にしないらしい。公には「宇宙空間からの撮影なのでカメラレンズの歪みであろう?」と否定する。でも長江(揚子江)を上流で堰き止めたこのダムは日本のダムとは規模がちがう。もし決壊したら下流には上海、武漢、南京など川沿いの大都市の多くが水没し多大な被害をもたらす・・・。そもそもこのダム建設には共産党員の利権が絡み、「危険だからやめとけ!」という知識人の意見を無視し強引に進めた経緯がある。そして初期段階から汚職や手抜き工事などがはびこり、設計どうり基礎工事が行なわれたかは疑わしいという。
ところで私の工房の敷地には手抜き工事など決してしない、穴掘り名人が住んでいる。でも残念なことに彼との面識はまだない。仕事がはかどっているらしく、所どころ土が盛りあがる。俺に断りもなしに勝手にインフラ工事などしやがってと、ムクムク悪戯心がわいてきた。「よーし、このモグラ野郎、溺れさせてやる!」と意気みスコップ片手に盛り土を除くと横穴が現れた。そこにホースを差し込み蛇口をひねる。しかし20分以上水を流し続けてもいっこうにあふれる気配が無い。いったいこの大量な水はどこに消えたのか?水がもったいないのであきらめた。やはりモグラは人と違って排水工事は完璧だった・・・。でもこのモグラが河川の堤防に住みつき仕事に精を出すと堤防は穴だらけ、水量が増すと簡単にそこから堤防が決壊し水害になるという。
今年もいよいよ台風シーズンがやってきた。「津波、台風、ダム、モグラ!」水害をもたらす現代の脅威に気をつけよう。(勝田陶人舎・冨岡伸一)