茶飲み話・年金
皆さんはGPIF・年金積立金管理運用独立法人という行政法人ご存知だろうか?この組織は簡単言うと我々の年金を預かり管理運用する組織である。先日ここが昨年20年度の運用実績を発表したが、私はその結果に驚いた。なんと昨年の運用実績が37兆円、25パーセントも増えていたのだ。そしてその額は累計で186兆円にも膨れ上がった。昨年コロナショック時には年度の運用益が一時マイナスになり、将来の年金が減額するのではと話題になったが、これでとりあえず年金減額の話は消えたと思う。
でもその総額の半分が日本と海外の株式に投資されていて、株式市場では現在世界最大のファンドになっている。そのため株価が上がれば年金は安泰、下がれば減額の「丁半博打」構図になっている。日本人の大半は株式投資などのリスク資産を警戒し、利子のつかない預貯金に励むが「国は個人より賢い」しっかり将来を見つめリスク運用している。もし年金機構が債権と現金の安全資産で資金管理すれば、じきに年金の原資は枯渇するので、これ以外の選択肢はない。そこで我々の「虎の子」も株価の上下に託されており、年金受給金額もギャンブルの要素を持つ。
肩を落とし下目線で20分ほどの距離を、トボトボ駅に向かう人の群れ。私の住む市川市には中山法華経寺という日蓮宗のお寺があるが、その参道に並行する位置に通る道路を通称「オケラ街道」と呼んでいた。この道路の上手には中山競馬場があり、持ち金すべてを負けた人(オケラ)たちがバスにも乗れず、歩く裏道でこの名がついた。でも最近ではこのオケラ街道の名も消えている。つまらないことに今の日本人はスマートで、持ち金ぜんぶギャンブルにつぎ込むこともないようだ。
先日ビットコイン・仮想通貨が短期で半値になると韓国では大騒ぎになった。多くの若者達が借金までしてビットコインを買い漁り、その下落で借金地獄に陥っているらしい。乱高下の激しい仮想通貨に手を出し、負けると元金を返せとわめき散らし集団でデモまでする。ビットコインは上下変動が激しく、ギャンブルであると当然認識して購入しているはずで、これでは競馬に負けて金返せと怒鳴るのと同じだ。
もう数年先にはドルや円も現金紙幣からクリプト・暗号通貨に変わるかも?中国では早くもデジタル人民元の発行が準備され、ビットコインのマイニングが禁止になった。わが国でも早晩現金のなくなる日が来る。すると全ての金の移動はデジタル化された数字のやり取りになり、あの誰でも好きな新札束の「香しいインクの臭い」ともおさらばになる・・・。実感のわかない数字だけのデジタル通貨など信用できないと思う方は、田中貴金属でコツコツ・ゴールド投資でもどうぞ。でもこの先儲かるかは知りません。
(海底に潜むヒラメ、油断するといきなりパクリとやられる。勝田陶人舎・冨岡伸一)