茶飲み話・粉もん

 

最近、「粉もん」と関西で呼ばれる、お好み焼きやたこ焼きが外国人に大人気だ。わざわざお好み焼きを喰いに欧米から大阪にやって来る人もいるという。粉もんとは小麦粉で作られる料理の総評で麺類やパン類をもふくむが、特にいま注目されているのがお好み焼きとたこ焼きである。ワンコインで食べられるのでその安さも魅力の一つだ。

粉もんなどのB級グルメ聖地と言えばもちろん大阪の道頓堀界隈である。道頓堀界隈には私も市場調査でたびたび訪れたが、仕事関係の方と同伴なので本場の粉もんを立食する機会が無かった。まさか「お昼、何にしましょう」の問いに「俺、たこ焼きでよい」などとは言えないものねえ。そこで自宅近所のフードコートで食べる「銀だこ」しか食べたことがない。

まさかあのフランス人までがお好み焼きに食らいつく!とは世の価値観がずいぶん変わった、青春時代に憧れのフランスに行って、初めて食ったバッケトやクロワッサンの旨さに感動した逆の現象が起きている。そしてイタリアの粉もんと言えばピザだが、街角のピザ屋で売るピザは四角い大きな鉄板で焼き、等分するので20センチン位の四角形である。これをかじりながら歩いた。同じ感覚で日本に来るイタリア人も、お好み焼きは好きらしい。

「どんどん焼きはドンドンと太鼓をたたきながら屋台を引いてやって来た」。明治37年生まれで浅草育ちであった父親は昔語りをよくしてくれた。父親によるとお好み焼きのルーツはドンドン焼きにあり、小麦粉を溶いて焼いたものだった。そのご色々な具材を入れて焼くようになり、お好み焼きと呼ばれるようになったという。わが家では子供の頃、お好み焼きと言わずにどんどん焼きと呼んでいた。

また東京下町の粉もんであるモンジャ焼きのルーツは文字焼きといい、駄菓子屋で就学前後の子供達に緩く溶いた小麦粉で、平仮名を書かせて焼いたのが始まりだと同じく父親が語った・・・。これはわが家の口伝なのでその正否は定かでない。(見た目があまり美しくないモンジャ焼きが欧米人に支持される日も来るのか?勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

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