茶飲み話・トウモロコシ
「皿の上に乗る、一本のトウモロコシをしげしげと眺める・・・」。すると様々な思い出が脳裏に浮ぶ。遠い昔の記憶ではトウモロコシは七輪の火で焼き、醤油を塗って食べていた。しかしその後、七輪がガスコンロに変わると、いつの間にかトウモロコシは茹でて戴くようになった。でも炭で焼いたトウモロコシに醤油をぬった時に漂うあの「香り」はなんとも食欲を誘った。
「しかし最近のトウモロコシは甘いよね!」色も白かったりして以前の物とはまるで別物で、どちらかと言うとフルーツに近い。このトウモロコシを炭火で焼き、醤油をぬって齧ったらいったいどんな味がするのやら?一度試してみたい。昔あったトウモロコシで好きなのは、実の色が黒などが混在したカラフルな種。今では殆ど見かけないので、絶滅危惧種になっているのか?。
昭和もまだ30年代前半頃までは食糧もそれ程豊富でなく、副食として芋やトウモロコシがもっと頻繁に食された。小学校から勇んで帰ると、卓袱台の上に置かれていたのが蒸かしたサツマイモである。このサツマイモもピンキリで水っぽい芋と、栗のようにホクホクとした芋に別れた。たまに好きなトウモロコシが置かれていると笑顔になる。
南米原産のトウモロコシを日本人が食べるようになったのは16世紀頃からで、ポルトガルの宣教師フランシスコ・ザビエルが伝えた。日本では最初トウモロコシは観賞用として栽培され、本格的に食糧とされたのは江戸時代からとされる。焼いたり茹でたりして食べるトウモロコシ。ところがアメリカで栽培される多くのトウモロコシは牛など家畜の餌である。
でもこれらのトウモロコシは、遺伝子組み換えにより改良された日照りや病害虫に強い品種である。遺伝子組み換え食品が人間に害があるか?など何も検証されてないので直接食べるのは抵抗があるが、家畜の飼料なのだから問題はないとの見解である。(何も知らずに安い牛丼喰って、ある日突然アメリカ産牛肉には発癌物質が含まれている!などは決してない?勝田陶人舎・冨岡伸一)