茶飲み話・新ニーサ
今年も残すこと10日で終了する。「光陰矢の如し」時の移ろいなど真に早いものである。「朝には紅顔ありて夕べには白骨となる」。高校時代漢文で習って漠然と感じていた老いのイメージが、今はっきりと目前に迫る年になってきた!しかし自らその歩みを止めるわけにはいかないので、浮世の戯言に付き合いソロリソロリと参ろう。
「このアメリカ株を買えば絶対に儲かりますよ!」と言って電話勧誘の後、我が家にやって来たのは中堅どころの証券会社のセールスマン2人である。新規に口座を開設し、300万円で電気自動車のバッテリーに使うリチウム鉱山会社の株購入を執拗に薦めた。でも私はすでに証券口座は他に持っているので、勧誘には乗らず話だけ聞いて帰ってもらった。
ところがその後5か月がたち、その会社の株価を調べてみると45パーセント以上も暴落していた。専門家だと思って証券会社のセールスに乗ると、とんでもないことになる。いま証券会社各社はニーサ枠拡大をビジネスチャンスととらえ、活発な営業活動を仕掛けている。でも株式投資など人に勧められて買うと、80パーセントの確率で損をする。
来年からはニーサ枠が拡大し、新しく株式投資をする人も多くなると思う。でも何が起こるか分からない混沌の時代に年金生活の我々が株式投資を始めるのは、とてもリスクが大きい。さりとて現金はインフレで目減りするので、何もしない選択肢も貧困になるだけだ。このように二択で、のるかそるかの怖い判断を「悪魔の選択」と呼ぶ。
「どんな株を買えばよいのですか?」とニーサ枠の拡大を知った投資初心者のあなたが、証券会社の窓口に行ったとする。すると今はアメリカ株を薦めてくることが多い。でもアメリカ株は現在割高で暴落の危険性も高い。そこで何も知らない日本人に割高な株を買わせるために、今回岸田さんはバイデンの意向を聞きニーサ枠を拡大した・・・?(株買って簡単に儲かるなら、今頃私はリッチになってワイキキの浜辺で寝そべっている。勝田陶人舎・冨岡伸一)