茶飲み話・銀行

 

30年近く続いてきた物価も給料も上がらないデフレもいよいよ終焉し、物価が毎年上昇するインフレの時代がやって来た。こうなると一番困るのが年金生活者の我々である。現役世代は物価上昇に伴いサラリーも上昇するが、年金は物価にスライドし同じ率で上昇するわけではない。物価が毎年大きく上昇していくと年金生活はどんどん苦しくなる。

「銀行に定期預金しても、殆ど利子がつかないと愚痴が出た」。しかし今までは年金生活者にとっては良い時代だったと言える。なぜなら決められた額の年金でも、物価上昇がなかったので比較的楽に生活出来た。預金金利などゼロでも物価が下がれば1万円の使い勝手も増える。ところが最近始まったばかりのインフレ、円安ですらすでに悲鳴が聞こえてくる。でも本格的な物価高はこれからやって来るのだ。

そして利子のつかない通帳を眺めては落胆した時代もそろそろ終わる。日本銀行が先日長く続いてきたマイナス金利解除を決め、金利を上げ始めた。といってもまだ0,1パーセントであるのだが。しかしこれからは日本でも徐々に金利上昇の時代へと向かう。今まで預金など手間がかかるだけで歓迎しなかった銀行も、預金歓迎に方向転換するという。

「いま日本は大きな歴史的転換点にいる!」技術革新による急速な変化はもちろんのこと、最も大事なことは年金生活の今後である。のんびりテレビでも眺めていると時代の変化は分からない。今のマスコミは国の財政や金融など、庶民の生活に直結する肝心なことは放映しない。国の借金まみれの財政などなるべく庶民には知られたくないのだ。

しかしいっぽう今までマイナス金利で傷みつけられていた銀行が復活の狼煙を上げる。特にローン金利で儲ける地方銀行は倒産直前まで追い込まれていた。それが金利が上がれば銀行は儲かる。逆にこれから苦しむのは変動金利で住宅ローンなど、大金を借りている働き盛りの若者や借金の多い会社の経営者などである。(より良い年金暮らしを過ごすには女性であっても、金融知識が鍵になる時代にになっている。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

 

茶飲み話・喜寿

 

日々、余生をいかに過ごすかは人によって異なる。人生にとって大切なことはそれぞれの人々が満足のいく形で晩年を楽しめればそれで良し、別に講釈などはいらない。私は若年の頃から「終わり良ければ総て良し」人は晩年の過ごし方で人生の良し悪しが決まると考えていたので、自身の生涯の理想形などを脳裏に刻み歩んできた。

若い頃の私は束縛を嫌い自由でありたいと常に願っていた。すると当然社会と呼ばれる組織からは一定の距離を保つことになる。でも別に孤独と呼ぶ独り身に居心地の良さを感じることもなかった。頭では晩年の鴨長明のように森の中に素庵を設け、世の中を俯瞰して筆をとるなどの図を描くが、元々が寂しがり屋の性格で、すぐに里の喧騒に魅かれ一夜たりとも耐えることなど出来はしない。

先月喜寿を迎え一区切り、いよいよ残る年月も指の数ほどになった。そこで自身の生涯を振り返ると、私はほぼ自分の思い描いた図式道理に歩んでこられた気がする。好きな事を仕事にし、行きたいところに行き、好きなだけ飲んで、自由の中に遊んだ。別に大志など描かなかったので、大きくぶれることもなかった。しいて言えば陶芸家として大きく羽ばたけなかった事ぐらいだ。

「好きな事をして生きればよいのだよ。一度きりの人生だ!」これは私が若い頃より自問自答して人生の指針としてきた言葉だ。一生という限られた時間と空間の中でハッピーに生きるには、組織の中で埋没した時間を長く作らない事である。経験として認識される数年ならまだしも、十年単位だとその失った時間はお金では取り戻せない。

でも晩年お金持ちになれれば壮年期の忍耐などいとわないと思う人もいるので、人それぞれだが、体力的にもその時でないと楽しめないことは山ほどある。いまの若い人たちを見ていると何か遠慮がちに生きている気がするね。ひかれたレールに自分を合わせるのではなく、もっと自由であるべきだ・・。(日本は良い国です。隣国と違い、いかようにでも生きられるのです。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

茶飲み話・ルビコン川

 

今の日銀の総裁は一年前に黒田さんに代わり就任した、植田和夫さんである。でもこの人、はっきり言ってあまり風采が上がらず目もうつろで自信なさげ、何でこの人が日銀のトップなのか首をかしげる人もいると思う。でも植田さんは元々東大の教授で日銀の生え抜きではない。日銀のエリートたちは総裁を依頼されたが皆んな逃げて、誰一人引き受け手がいなかったのだ。しかたなく岸田首相が懇願し連れてきたのが植田さんなのである。

「なーんでか?それはね!日銀のエリートたちは日本国の借金の額のヤバさを知っていたからなんです」。彼らは「火中の栗を拾いたくない」と固辞。そしてさっさと退職金をもらうと、それをゴールドに代えたと聞く。やはり頭の良い人たちはやる事がちがう。だからネズミのような風体の植田さんを責めないでほしい。彼はとても良い人なんです。

テレビでも放映されていたのでご存じの方も多いと思うが、我が国が休日の29日に為替が大きく変動した。それまで157円であったドル円が一気に160円まで急騰、するとまずい事になったと思った瞬間!今度はいっきに逆方向に動き、あっという間に155円になる。「やっぱ、日銀の為替介入か?」でもね、為替介入しても状況は変わらないので、またすぐに円安に戻るよと呟いた。

「これから面白いことが起きるとの予感!」いままで日本の金融危機に気付かなかった庶民が、そろそろ騒ぎ始める日も近い。その時は円の減価を恐れる人たちがいっせいに動き始める。そして銀行預金から外貨や米株などに流れると、それがまた円安を進行させる。日本人は同調圧力が強いのでどうなることやら?しかし日銀が金利を大きく上げれば、この円安も瞬時に解決するのだが。

でも巨額に膨れ上がった赤字国債に払う金利も上がるので、それができないのです。利払いに回すと国家予算のほとんどが利払いで消える。国民が福祉予算や公共工事も削られ、文句も言わず増税にも耐えるなら可能かも?でもね、残念なことにすでにルビコン川を渡ってしまった・・・。(これからは国に頼らず、個々人で対応するしかない。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

 

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