茶飲み話・トルコ
「あれー、また値上がりか!」月に一度行く千円床屋が、1400円に値上がりした。この床屋に通うようになり20年たつが、4年前まではずっと千円の時代が続いていた。それで千円床屋と呼ばれ庶民に親しまれていたのだ。しかし最近では毎年100円づつ価格が上昇している。そしてたぶん来年には1500円になっているだろう。でも散髪に行かなくても別に困るわけでもないので、回数を減らせば済む話でもある。
年金を受給してすでに12年になるがこの間、年金の支給額は殆ど変わらない。世の中すでにインフレに突入しているのに、年金だけは今だにデフレのままである。いちおう年金も物価スライド制らしいが、年金の増額などという話は全く出てこない。そこで庶民は生活防衛のために安売りスーパーに駆け込む。そして最近テレビの番組では激安店の紹介ばかりが目に付くが、たぶん世相を反映してこれが一番視聴率が稼げるのであろう。
先日私の好きなトルコ出身の経済評論家のエミン・ユルマズさんが、面白いことを言っていたので紹介しておく。トルコでは毎年インフレが激しく、毎月のように物価が上がっていく。そこで彼の家では預貯金はすべてゴールドで所有し、現金は殆ど持たない。そして彼の母は旦那の給料が入るとすぐに貴金属店に出向き、全額をゴールドに代えるという。そして買い物の前には貴金属店に立ち寄り、ゴールドを現金に換えて1週間分の買い物をする。
そして定価がハッキリしないトルコでは買い物の度に値引き交渉をするので、大変時間がかかる。「私はそんな母との買い物が大嫌いであったであった!」と笑みを浮かべ、口述していた。これからの我が国がこのようになるとは言わないが、このままでは確実にそちらの方向に進んでいるのではないかと感じてもいる。トランプさんが大統領になり日増しに混乱は増幅していて、明日の事さえ分からない。
最近あちこちに開店し目に付くのが「お宝や」などの宝飾品や貴金属売買を商う店舗である。「こんなところで店を開いて客が来るのか?」と首をかしげるが、もしトルコのように高インフレになれば身近なゴールド交換所としての機能をはたすかもしれない。もしそうだとすればこの企業のトップは相当に先読みの出来る人である。笑(平穏な日々が続くが、足元ではヒタヒタトと何かに浸食されている。勝田陶人舎・冨岡伸一)