抹茶碗の詩・懐石

 

むかし空腹に耐えかねた人たちが石を温めて懐に入れ、飢えをしのいだと聞く。懐石料理とは元来豪華な料理でなく、お茶席で空腹を満たす程度に供された料理である。インフレで老後貧困が忍び寄る昨今、清貧に生きる知恵を古人から学ぶべきかもしれない。

抹茶碗の詩・青春

 

青春時代は中原中也の「汚れちまった悲しみに」という詩が好きだった。特に「なすところもなく日は暮れる」というフレーズだ。人生にはさしたる意味はないのでは?と思いながらも今だに生きる意味を見つける歩みを続けている。

抹茶碗の詩(うた)

 

早いもので私がこのブログで茶飲み話を連載してから、すでに7年が経過する。最初は自身の文章力を上げるために続けたが、最近ではテキストを書くより抹茶碗制作がライフワークとなってきたため長い文章の茶飲み話を終了し、短い文章で簡潔にその時の心境を綴る「抹茶碗の詩」に代えたいと思う。抹茶碗の詩とは茶碗の中に自身の自然観や、古来から続く日本の伝統的美意識や風景描写などを茶碗に景色として写すことにある。

抹茶碗の中にポエムを感じ、目を細めて眺めれば抽象的であるが、どこか日本の原風景をイメージできる良ような茶碗を作りたいと思う。そして一つ一つの抹茶碗の詩が集まって、抹茶碗の詩集となったら楽しい。私の抹茶碗作りは物質的な茶碗である前にリリカルなポエムであるべきだと願う。(抹茶碗を削り炎と対話する叙情的茶碗作家。80代はこれでいくか!笑。勝田陶人舎・冨岡伸一)

茶飲み話・夏

 

いよいよ蒸し暑く息苦しい日本の夏がやって来た。でも現在は各家庭にはエアコンが完備し、屋内に留まれば快適な日常が過ごせる。それに電車、バスなどの乗り物やショッピングセンターにも空調が設置され屋外以外はハンカチの使用は少ない。ところがヨーロッパでは一足先に40度を超す熱波に襲われ、連日の暑さで死者も出ているという。ヨーロッパでは通常は夏でも湿気が少なく、夜になれば気温もさがるのでホテルなどでもエアコンの設置が少ない。

日本より緯度の高いヨーロッパの夏は温度差が激しい、暑い日が数日続くと寒くてセーターが必要な日もある。それに日中と夜では寒暖の差も激しいので通常は昼間暑くて寝苦しい夜などない。しかし最近では温暖化の影響で夜でも気温が下がらない日もあり、病人や高齢者は体力を消耗する。日本でも北海道などは以前はエアコンなど無用だったが、今ではエアコンが普及し始めている。

ところで最近感ずることだが、日本の夏から害虫が消えた。ノミやダニを始め蚊やハエもあまり見かけない。特にあれだけいたハエは殆ど見なくなった。私が子供の頃は各家庭には網戸がなく食事中などは常にハエの侵入に悩まされた。そのため天井からはハエトリガミがつるされ、何匹ものハエがベタついたハエトリ紙に吸い付き動けなくなっていた。その他ハエ叩きも懐かしい。今ではどこを探してもハエ叩きなど売ってない。

ハエの激減は水洗トイレの普及にある。今の日本のトイレ事情な世界一だという。各家庭はもちろん公園などの公衆トイレまでが清潔なのには外国人でなくとも驚く。日本が海外の観光客から人気なのはいたる所にトイレがあり、そのほとんどすべてが清潔である点だ。そしてどこのトイレに入っても掃除が行き届き、殆ど匂いがしない。年を重ねると回数が増えるのでありがたい。

匂いと言えば最近流行りのAIロボットが一番不得意な仕事の一つにソムリエがあると聞く。ワインの味以上に難しいのが香りを感じる臭覚であるという。コロンなどの強い匂いは分析可能かもしれないが、ワインの微妙な香りは判断が非常に難しいらしい・・・。(これから爆速で進む10年後の未来など凡人には予想不可能だが、科学技術の進歩と幸福感は別物であるような気がする。勝田陶人舎・冨岡伸一)

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