ベッコウ飴

昨日(民事訴訟最後通達書)なるウスッペラな葉書がポストに舞い込んだ。中身を読むと要は契約があった企業や団体から契約不履行により、訴状が提出されてあなたの民事裁判が開始される。期日は本日までで至急相談窓口まで連絡くださいとのことだ。「詐欺のハガキか!」ついにわが家にも舞い込んだ。でも考えて見れば、こんなハガキをわざわざ投函する郵便職員も郵便職員だ・・・!「重要な連絡は必ず封書にしてね」と念を押された。かつて住んでいたイタリアの郵便配達人のようにハガキは内容を適当にチェックして、クダラナイものは配達がめんどうなので廃棄するくらいの気を利かせたらどうだ。日本人は杓子定規で、いかにも怪しいハガキまで律儀に届ける。

これからの高齢化社会、判断の衰えた高齢者所帯には登録すれば、電話のように怪しい郵便物などブロックする制度なども導入してみてはどうだろうか?危険という危の字の赤いハンコでも、ペッタリンコン押して届けてくれると分かりやすくて有難い。銀行だって振り込め詐欺の送金にはチェック体制がある。でもこんなこと書けば「自己責任でどうぞ!」などハヤリの個人情報保護云々の批判も起きる。「自分は絶対に詐欺などに騙されない」と今はまだ確信がある。しかし老いとは正常な判断ができなくなることでもある。アクセルとブレーキ踏み間違えて大事故を起こした!若い人には考えられない、この手の高齢者による自動車事故はとても多い。二択だから単純で間違えやすいのだ。

「子供ダマシ」という言葉があるが、むかしはダイの大人が子供の小遣いを狙い騙し取ることも度々あった。特に神社での祭りの開催日、どこからやって来たのか寅さん風のいかがわしい男が、陣取りブツを並べる。「おーすげー!本当に指の骨が透けて見えるぞ」「どれどれ俺にも見せろ。おー!」サクラがアイヅチをうつ。私も促され小さな小箱の穴から覗き自分の手を見ると、確かに骨が透けて見えるような気がする。「50円か!」ちょっと高いが今日は祭りなので親から100円貰ってきた。皆が買うので私もつられた。しかし家に帰りよく見ると何かおかしい。どこを見ても骨らしき物が見える。思い切って箱を壊すと中から出てきたのは、ニワトリの白い羽一枚。ちきしょう!また騙された。

でもベッコウ飴などを舐め舐め巡る祭りの出店は、子供達の大きな楽しみでもあった。写真は変形の植木鉢です。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

ホアグラ

先日カルロス・ゴーン氏が東京拘置箸所から仮出所をしてきた。やつれたその表情を眺めていると、強健を発動しバッタバッタと日産の従業員を情け容赦なく、解雇していった恐もての社長という面影は感じられない。思い返せば確かに20年前、日産は倒産の危機にあった。労組も強く合理化できないその企業体質は変革を望まず、ぬるま湯につかってジリジリとトヨタを初め他の自動車会社に、水をあけられて行った。日産の企業改革など絶対に難しい!日本の他の自動車会社が合併などを見送る中、手を上げたのが格下のフランス自動車会社ルノーである。自分よりも大きい企業を丸呑みする形での合併は、当初非常に危惧されたがゴーン氏がルノーから送り込まれて、徹底したコストカットにより結果見事に日産は甦る。

昔から日本人の企業経営は家族的。一度社員になると温情主義の感情が先立ちなかなか解雇など出来ない。そこでズルズルと合理化の時期を失い赤字のたれ流しとなる。確かにゴーン氏の社長就任時の非情な大ナタでのコストカットは見事であった。バッタバッタと社員の首を切る<人斬り仁蔵>かカルロス・ゴーンか?当時は景気も悪く就職氷河期で解雇された多くの従業員が路頭に迷った。でも彼はそれを敢行し会社はよみがえる。元社員も会社再生のためならと去って行った人も多い。そもそも日立系の日産は<技術の日産>と呼ばれその水準は非常に高かったのだ。急激なⅤ字回復は技術革新や卓越したマネージメント力ではなく、あくまでも人を殺して食いブチを減らしただけこと!ただこれだけで日産は直ぐによみがえる。

私が彼に腹立たしさを感じるのは、ゴーン氏が誰のために人を斬って利益を捻出したかだ。会社が儲かり始めると、本当は従業員や株主に還元すべき利益を自分のポケットに捻じ込み始める。通常のポケットでは足りないので服の裏など、急ごしらえであちこちポケットを縫い付ける。でもだんだん不自然に服が膨らんで、外からでもはっきりと確認できるようになった!その結果が今回の社内告発につながる。「ふざけんな、俺は誰のために泣く泣く会社を去ったのだ。愛社のためでなく、ゴーンの成り上がり貴族生活を支えるためだったのか!」解雇された元社員の怒りの声が聞こえてくる。プライベートでの彼のベルサイユ宮殿を貸しきっての晩餐会、どんなホアグラのフランス料理が振舞われたのだろう?「皆さん存分に楽しんでください。どうせ金は日産にいくらでも出させますから」

いま各国でこのゴーン氏のようなグローバルで活躍する、無国籍型拝金主義者の投資家や経営者が多く登場している。彼らは金になればどこにでも行き何でもやる。ところで工房の屋根の上のサクラが満開です!(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

ホタルイカ

「今に我が家は大変なことになる!」先日親友の安部君と居酒屋で一杯飲んでいると、飲んだ勢いで彼は年金での生活費の困窮を語り始めた。聞くところによると家計は奥さんに任せきりで、一年間で使う生活費は101万円だという。内訳は二人の年金が70万で、足りない分の31万円は毎年銀行からの借金で賄っている。そしてその借金の合計金額は一千万を超えて、今年は1080万にまで膨らんでいるというのだ。こんな状態が長続きするわけなく、なんとか浪費家の奥さんを説得し年金だけで生活したいと思っているが、長年染み付いた生活スタイルを、奥さんは今さら落とせないという。

「でもそんな状態でよく銀行が金かしてくれるね。」と聞くと「今は金利も安いし銀行は俺の退職金がまだ1800万円残っているのを担保にしている」という。でもその金は俺個人の虎の子で人生百年時代、絶対に何があっても家計の借金返済などに回したくない。でも最終的には俺個人の金を銀行は絶対に取りにくるよな!そうしたら俺は文無しだと嘆いていた。ここまで言うと、勘のよい方はもうお分かりのように安部家の家計は万を兆に変えると、ザックリ日本国の財政状況で借金が国の赤字!預金が我々国民の金融資産である。いつかこの国民の金融資産を狙い重税や、ハイパーインフレ、超円安という形で国の借金の穴埋めに、虎の子が取られることもある。

先日リクシルという住宅のドアーなどを作る会社の社長が、テレビに出て本社をシンガポールに移すといっていた。理由は日本は税金が高いのと、早晩財政赤字で国が潰れるからだと公言していた。「バカヤロー、日本で儲けて会社が大きくなったら、ユーザーを見捨てて自分は高飛びか!」しかし日本の国家破産の話など20年も前から出ているが、いっこうにその気配も無い!国債の資金調達など国内で行なっており、貿易黒字で外貨準備も潤沢!虎の子は徐々に取られるとしても、当分破産などはするわけない。でもグローバル化の昨今、もっと悲惨な国はたくさんある。そろそろ破綻する国が出てきそうだ。

日本は気候も温暖で民度も高く、とりあえず今は住みやすい。特に日本料理は最高だ!今年もまた春の訪れを告げるホタルイカが食卓に。味噌ダレを付け頂いたが日本に住むありがたさをしみじみ感じる瞬間でもあった。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

チェリー

いよいよ今年も桜の開花シーズンがやってきた。日々寒さも徐々に和らぎ心も和む。浮かれて桜の名所などにも繰り出したいところだが、今年はまだ旅に行く予定なども無い。とりあえず工房の屋根を覆う桜でも眺めながら、缶ビールでも開けて一人花見でもするか・・・?ところで古来より桜を詠んだ詩は数あれど、「明日ありと思う心のあだ桜、今宵は嵐の吹かぬものかは」浄土真宗の開祖親鸞のこの詩が私は特に好きである。青春時代に自我目覚めると、将来の漠然とした不安などに杞憂して生きるようになった。すでに70年ほど娑婆にいるが、本当に明日の事など分からない。突然雲行きが怪しくなり空から雷鳴が轟くようなことは数度あったが、ただ直撃は免れたので今日こうして能書きをたれている。

ところで桜といえばとりあえずはサクランボでもある。子供の頃はサクランボなどこんな可愛く気のきいた果物なんて、食べたこともなかった。中学時代だったか?二十歳を過ぎたばかりの長女が何を思ったのか、突然そのころ登場したサントリーのカクテル教室に通い始めたのだ。そして家に帰るとイッチョマエにカッコつけてシェーカーを振る。「姉ちゃん俺にも飲ませろよ!」と買い揃えたカクテルグラスに注がれた、得体の知らない飲み物を口にすると、中にラム酒に漬けた真っ赤なチェリーが一個入っていた。ところがそのチェリーの旨かったこと。「もう一個くれ!」せがんでみたが「これ高いんだよ!」と一蹴された。当時チェリーといえば殆どビン詰めで、生のチェリーなどあまり無かったのではないか?

「今年もまた美しく咲く桜を見て私はとても・・・。」さて!皆さんは続きの文をどう書きますか?たいがいは「感動した。」とか「嬉しかった。」とかの順文ですよね。ところが稀に「悲しかった!」と逆文をもってくることもあるわけです。十数年後には人々の仕事のかなりの部分がAIやロボットに奪われてしまう。すると「多くの人が仕事を失い、無用者階級になり下がって国から支給されるベーシック・インカム(最低生活保障)を受けての生活となる」などの恐ろしい未来予測の本なども多く出回っている。でもAIにはとりあえずまだ、この逆文は当分理解できないらしい。人間の感情はとても繊細で複雑、ロボットなどに簡単に負けるはずがない。すると感性などを研ぎ澄ましていていれば、平凡な頭脳でも何かの仕事にありつけるかも。

今日は工房を開設し始めたころ20年前に製作した桜のプレートを掲載。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

ジャガイモ

<ゲノム編集食品、夏にも食卓へ>先週朝刊を読んでいたら、突然この記事が眼に飛び込んできた。ゲノム編集っていったい何物だ!バイオ技術に疎い私も、日々食べる食品の事なので見逃すわけには行かないので調べてみた。なにやら新しい品種改良の技術らしく、自然界で時どき起きている突然変異を人の手で人工的に行うらしい。遺伝子を壊して編集しなおしたり、繋いだりして人間にとってより有益な農作物などを作りだす技術だという。従来からの遺伝子組み換えは人間の体内でのアレルギー反応などを検証する必要があり、結果が出るまで時間とお金がかかったという。でもゲノム編集なら突然変異と同じなので、安全だというのだが私にはこの違いがよく理解できない。

例えばジャガイモ芽には毒があり、以前は管理も悪く芽の出たジャガイモなども平気で市場に出回っていたが、最近ではこのようなジャガイモは余り見かけなくなった。今スーパーなどで買うジャガイモはとりあえず芽など出ていない。そこでジャガイモに毒があることさえも知らず、芽の出た部分など切り取らない若い主婦もいる。いまはゲノム編集により毒の無いジャガイモが開発されているという。ジャガイモを生でも食べられるようになれば、ジャガイモサラダなど新しい料理のジャンルも広がるので良い。ジャガイモにはソラニンやチャコニンという毒が、芽の部分や日にあったった皮の青い部分にあるそうで、それを食べると嘔吐や腹痛を伴うという。

「腹減ったなあ、何か食い物ねえか?」小学校から帰り5,6人で遊んでいると空腹をおぼえる。すると「芋でも食うか!」と一人が言い出す。当時遊び場として利用していた空き地の先にはジャガイモ畑が広がっていた。「芋カッパラッテ来いよ」とガキ大将が命じる。「合点だ!」とばかりに垣根を乗り越え畑に侵入すると、芋の茎を引っこ抜いた。するとジャガイモが5,6個ゴロゴロと付いてくる。三本も抜けばそれで十分だ。さっそく廃材をかき集め火を起こし、湯の沸いたブリキのバケツに芋を放り込む・・・。待ちきれず5分も経たずに芋を取り出すと「まだガリガリで喰えねえや!」ガキ大将が試食してはきだした。こんなことやってても別に芋の毒素にもあたらなかったので、今のままの芋でも良いのでないかと思う。

近年日本人は森や野山に狩りや食物の採取にあまり出向かなくなった。食べ物はスーパーに行けばいくらでも豊富にある。働かないで遊んでいても飢える事の無い未来!もうそこまで来ているとホリエモンの本には書いてあった?

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

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