WTO
アメリカのトランプ大統領も就任してから早いもので二年半になる。この間ロシヤ疑惑などで、常に彼はマスメディアや民主党から叩かれてきた。そして最近その問題もある程度解決され、対中貿易不均衡解消などでやっと自由に動けるようになったようだ。アメリカ大統領として彼が選ばれた背景にはそれなりの理由がある。いま地球規模でグローバリズムの浸透による極端な二極化が進行している。国境をなくし人、物、金の自由な移動ができる単一巨大市場の出現は極端に富が偏在し、グローバルビジネスを営む極少数の人にとっては好都合だが、大多数の一般市民にとっては物価は安いが、給料も上がらない甚だ弊害の多いシステムとなった。
このような時代に不満を持つアメリカの保守白人層を中心とした民衆が、グローバリズムを止めるために担ぎ出したのがトランプ大統領である。そのため彼は公約通りにメキシコ国境に壁を作る、TPPの離脱、そしてグローバリズムに乗り、市場を荒らし外貨を稼ぎまくる中国への締め付けなどを推進している。そもそも20年近く前に共産国家でありながらルールを守らない中国を、WTO(世界の自由貿易を促進する機関)に加盟させた事が間違いだったと思う・・・。「中国がWTOに加盟することが決定したわよ冨岡さん!」当時神戸の靴メーカーで知り合った、中国人の黄さんという利発な女性は微笑んだ。「ああそうなの?」と上の空で答えたが、その時はまだWTOの加盟が中国にとってそんなに重要なことなのか理解できなかった。
この黄さんという女性は中国で医者である父と、教師である母の間に生まれた一人っ子だという。上海の有名大学を卒業し、神戸大学に留学生として学ぶ傍ら私の関係する会社にアルバイトに来ていた。英語、日本語も流暢で経済にも明るくランチタイムなどによく一緒に話をしていた。その後卒業すると三菱系の会社に就職し中国の駐在員として母国に帰っていく。当時この20代中頃の彼女と同世代の日本人と比較すると能力、意欲の差を感じた。このようなレベルの若者が中国には多数いるとしたら、将来日本は大変なことになる。正直この時いやな予感がした。その後キャリアを積んだ彼女がいま何をしているにかは分からない。だがそれから20年で中国はWTOを上手く利用して日本を追い越し、GDPで世界2位になりアメリカまでも脅かす存在になった。
せんじつ日本は東北地方の産物が韓国で不当に差別されている件で,WTOに提訴したが三審で敗れた。いっそうのこともうまともに機能しなくなったWTOなどアメリカと共にに離脱したら良いのでは?
(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)