遺産

先日大阪府堺市にある仁徳天皇御陵が世界遺産に登録され、近隣の人が喜んでいるというニュースを見た。でも私は百舌古墳群と天皇の御陵が世界遺産になり観光地化されるのには反対である。なんで天皇の御陵が世界遺産に登録しないと保存できないのだろうか?宮内庁を初め官民で静かに守っていけばいいだけの話だ。この御陵は本当に仁徳天皇の御陵なのかはっきりしないので発掘調査の声も上がるが、我々は単純にそれを信じればよい・・・。世界遺産は地球上には167カ国、1,092箇所もあり1位はイタリアで54、日本は22でランキングでは12位だという。そして最近では各国で世界遺産の登録数を競う傾向があり、安易に「オラが村にも世界遺産!」という傾向にある。でも仁徳天皇御陵は伊勢神宮と同じで単なる観光地ではない。

それより仁徳天皇御陵の上空からの写真を見ると私はいつも心がいたむ。御陵の三方は直ぐ密集した民家が立ち並ぶ、これでは仁徳天皇がお気の毒だし景観も甚だ宜しくない。行政は登録など考える前に接近している民家を買収し、周りに空間を設けるくらいの事はすべきだ。大体なんで御陵の周辺がこのような状況になるまで放っておいたのか理解に苦しむ。戦後高度成長期の宅地開発がこの状況を生んだのか、以前からこの状態なのか私は知らない。でも私が小学生の頃の社会科の教科書に掲載されていた御陵の写真は、周囲にこんなに民家などなかったような気がするのだが?たぶん戦後に皇族の方々を粗末に扱う時代もあったので、関知しなかったのかもしれない。

いま小中学生の社会科の教科書で天皇の歴史が、どのように子供たちに教えられているのか全く知らない。でも我々団塊世代が敗戦後に受けた天皇陛下に対する教育はひどかった。敗戦の責任を全て陛下に押し付け日教組の先生方は「日本の天皇制は良くない、できれば廃止するべきだ」などと教育現場で子供達に平気で公言していた。そればかりか戦後暫くは国民の祝日には各戸の門に日章旗を掲げる風習も残っていたが、この行為も右翼的と否定され今では祝日に日の丸を掲げる家も全くない。教育とは恐ろしいものだ!一度子供の頃に刷り込まれた思想はトラウマとなりなかなか抜けない。私もこの歳になってやっとそれも消え、本心穏やかな天皇陛下の基で生活できる日本人に生まれて、本当に良かったと思う。

強欲な独裁者の支配する国々に囲まれる昨今、君主の資質とは何か?もう一度われわれは考えてみる必要がある。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

© 2024 冨岡陶芸工房 勝田陶人舎