ブログ

私がこのブログを書き始めて約一年半が経過する。最初は戦後貧しかった子供の頃に経験した日々の生活のことを中心に思い出しながら記述してきた。しかしだんだん時間の経過と共に混沌としている現在やこれから時代の方向性を、自分なりに考えて見たいという欲求が生まれてきた。いま皆さんも感じているように時代の向かっている方向が何かおかしい!年々世の中の活気がなくなり、生活に余裕がなくなってきて賃金は上がらずに労働時間は増えている。そのため政府は働き方改革などを打ち出し残業を減らす政策を打ち出しているが、残業代を当てにして家計をやりくりしているしている人たちも沢山いると聞く。その一方で大企業でも残業の代わりに副業を認める会社も増えてきた。「給料少ないと感じるなら他の仕事を掛け持ちでもいいよ」となんてことない。もう生活保障は出来ませんということか?

「おはよう御座います。」午後7時を過ぎて早めに神戸の三宮のクラブに行くと一仕事終えたОLが出店してくる。もう2、30年以上も前の話、会社に内緒でホステスバイトをする女性達も沢山いた。隣に座ったリカと名乗る女性にこっそりと「時給幾ら貰っているの?」と尋ねたことがあった。「3500円かな」とリカちゃん。水割りを作り世間話をするだけで4時間で1万4千円か!楽だしこんな副業なら悪くない。しかし今の副業はこんな安易な仕事などないのでは?昼間サンザン会社でこき使われたあげく、夜はまた安い居酒屋の使役労働や頭脳を使うプロムラミングなど、時給1500円だとしても2,3時間ではたいした稼ぎにならない。まだ残業の方がましなのではないか?

会社は誰のものか?以前は会社は日本型家族経営と言われ、経営者と従業員のものだった。そのため多くの会社では自社の株価の値上がりに余り興味がなく、配当金など株主に還元する努力もあまりされていなかった。ところがバブル崩壊以降株が下がると、株の持ち合い解消で銀行や個人などが投げ売った株を外国人が買った。大株主になった外国人は欧米流に利益の還元を強く会社に要求するようになった。すると経営者は従業員の給料に回す金を株主に配当金や自社株買いで答える。こうして給料の上がらない時代は続いている。終身雇用で年功序列、つつがなく仕事をすれば毎年給料は上がっていき一生が保障されていた。ところが今は会社は経営者と株主のものだ。その株主の多くは外国人と事もあろうに日銀です。

少子化の原因は若い人の低収入にあるらしい。先日の統計によると未婚者の80パーセントはお金があれば結婚したいと答えているという。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

グローバル

もう25年以上も前だったか?当時ラビ・バトラという人が書いた<貿易は国を滅ぼす>という本を読んだことがあった。詳しい内容は忘れたがグローバル化による商品や人々の過度な移動は世界中の人を不幸にするという記述であったと思う。でもそのころ日本はまだ外国人や消費財の流入も今ほど活発でなく、あまり実感がわかなかった。ところが現代グローバル化の進展により世界の市場が一つになり始めると、いろいろ弊害が目立つようになってきた。競争に打ち勝ち、市場を独占する一握りの巨大なグローバル企業が富を独占するようになる。一方競争に負けた多くの弱小企業は市場から消えていく。これによりごく少数の極端な金持ちと、大多数の余裕のない賃労働者に分かれはじめた。

「誕生日おめでとう、はいこれ!」先日私の誕生日に娘がユニクロの包みを携えやって来た。中には下着やシャツなどの衣料品が詰まっていたが、私もユニクロの愛用者なので喜んで受け取った。ユニクロは生地や縫製のクオリティが高く、着ごこちも抜群でコストパは非常に良い。今はアジアなど世界中に出店し、グローバル企業として売り上げを伸ばし続けている。大手メーカーと素材の共同開発、大量仕入れ、大量生産によるコスト低減の効率化追求は競争力が強く、他の企業の追随を許さない。市場独占状態は加速し他の大衆衣料品企業の新規参入ことは難しくなった。今世界中でアパレルはユニクロだけでなくあらゆる衣料分野で、グローバル競争が戦わされている。

でも消費者にとっては物が安く買えるこの現象、実は裏には大変な状況が潜んでいる。世界中で一番品質が良く、価格の安い商品に皆が集中するとその影響を受け、大多数の企業は利益がでない。するとそこで働く多くの従業員は給料が上がらず、結果として安価な物しか買えなくなり、ますます負のデフレスパイラルが加速していく・・・。まだ元気だった30年前の日本人は一億総中流といわれた。賃金の格差もあまりなく海外ブランドなど単価の高い品も競って買っていた。しかし今はネットなどでの購入も増え、検索して一番安い単価を探し出す。そしてメルカリなども利用してセコンドハンドでも気にしない。でもこのような不健全な消費行動をしていると、いつか自分の身に降りかかってくる。

価格破壊による薄利多売の消費構造、結果なにをやっても庶民はただ忙しいだけでちっとも儲からない。「働けど、働けどなお、我が暮らし楽にならざり!」また石川啄木の時代に逆戻りか?

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

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