茶飲み話・忘年会
早いもので今年も忘年会シーズンがやってきた。コロナもとりあえず日本では収束に向かい少人数での宴会なら解禁となる。焼き鳥居酒屋を営む友人に聞くと、最近は客足も戻り始め、年末の予約も順調に入るようだ。しかし彼の見立てではコロナ後、客の動向には変化があり、一軒に留まって長居をする人が増えたという。確かに感染リスクを考えると二次会には行かず、卓上に焼酎ボトルの空瓶を並べるほうがましだ。
「公務員との会食は割り勘で!」という通達が先日人事院からでた。年末年始を向かえ、関係先の民間企業に対する接待の原則禁止令である。でもお互い割り勘での会食は認めるそうなので、宴席のあと店を出たら暗闇で「タクシーでお帰りください」とささやき、そっと5,6万円ポケットに捻じ込めばバレルことはない。私自身も仕入先との宴では、こんな経験数度あった。固辞すると人目につくので、「気が利くじゃん」と笑顔を押し殺しタクシーに乗り込んだ。
しかし今はスマホの時代である。密かに会話を録音、写真をパチリ、録画だって簡単にできる。気に喰わない上司や担当者などチクルことなど朝飯前だ・・・。もう30年前になるか?聞いた話だが。ある若い女性が会社での忘年会の帰り道、酔った上司から執拗なセクハラを受けたので、翌日社長に伝えたら理不尽にも本人が解雇となった。この頃「私はこれで会社を辞めました」と男が小指を立てるテレビコマーシャルが流行っていたのだが。
「水清くして魚すまず」という格言がある。ボウフラも湧かない清水の中では餌がないので人も魚も寄り付かなくなる。最近では東大卒が公官庁を避ける傾向にあるという。在職中は安給料で働き接待もなく、美味しい天下り先も少なくなれば役人など魅力ない。賄賂や利益誘導など良いとは思わぬが、あまりに潔癖すぎると世の中の活力はなくなる。
ところで先日新聞を読んでいると最近ロシアでは、燃料に使われるエタノールを含んだ違法な酒の販売が横行しているという。コロナで困窮した庶民が通常のウォッカの半額以下で安酒を買い、それを大量に飲んで中毒症状を起して、すでに70人ほどの死者も出ているらしい。原因は正規品ウォッカがコロナの消毒液に使用され、品薄になったからか?(無造作に食器棚に詰まれる抹茶碗。勝田陶人舎・冨岡伸一)
ベーシックインカムII
茶飲み話・ベーシックインカムⅡ
最近先進国では、ベーシックインカムの導入が本格的に議論され始めている。ベーシックインカムとは国民全員(老若男女)に生活費として、一定金額を毎月支給する制度である。これにより子沢山な家庭などでは金銭的負担は軽減されるが、基礎年金、生活保護費、児童手当なども廃止されるので、支給額によっては損得勘定が生じる可能性がある。
日本政府は近年マイナンバーカードの普及に熱心である。先日も「マイナンバーカードを収得するとポイントで2万円差し上げますよ」と飴をぶらさげた。まき餌につられ、パックっと喰らい付けば預貯金など金融資産額は把握され、金を動かすと課税対象になることもある。資産家はこれを嫌い登録を後回しにしようと警戒するが、余分な金などない庶民にはどうでもよい話である。でもマイナンバーカードとベーシックインカムはリンクされるので、最終的には誰も登録から逃げるわけに行かない。
「なんでベーシックインカムなんて必要なんだ」と単純に思うあなたはめぐまれている人かも。いま先進国では所得格差が広がり、貧富の差が著しく拡大している。一人で数兆円の資産を持つ人もいる反面、多くの庶民は低賃金で貧困にあえぐようになった。このままでは勤労者よりも、働かないで生活保護のほうが受給額が多くなることもあるので問題だ。そこで国は生きていく最低額を全員に支給し、それ以上は自分で稼げ!ということになる。収入が規定より多い人はあとで税金と一緒に回収される。
「ああ、俺もとうとう失業か」と口びるをかむ。AIやロボット導入による著しい作業の効率化は、一方で単純労働の失業者を多く生む可能性があるのだ。この先これらの人々をいかに救済するかは国の重要なテーマとなる。最近よく行くコンビニでも見慣れないレジがセットされた。今後はデジタルスキルのない人の就労は難しくなるかも。
ところで今年から高校の授業では家庭科の時間に、株式投資の方法を生徒に教え始めるという。大半の日本人は株式投資などはギャンブルで、まともな人間のすることではない!というモラルに縛られてきた。それが政府の肝いりで180度転換し、投資教育の推進とは、就労では満足に稼げない閉塞感の強い日本の未来が透けて見える・・・。(岸田総理の増税による分配と繁栄のスローガンは、すでにベーシックインカムの序章であるのか?勝田陶人舎。冨岡伸一)
メタ
茶飲み話・メタ
「いよいよ大変な時代になりますよ。皆さん!」こうして日々ネットで情報のやり取りに使うフェースブックが、先日社名変更をした。しかも新しい社名がなんと「メタ」なのだ。メタとはメタバースすなわち仮想現実を表す造語である。これはフェースブックのザッカーバーグ社長が、いままでの通信業務から徐々に業態を広げ、次の新たなテクノロジーであるバーチャルリアリティーの世界に、大きなビジネスチャンスが生まれると考えているからだ。
パソコンやスマホを眺め、お互いにモニターで情報のやり取りをしている時代はまだよかった。ところがこれからは特殊なゴーグルをかぶると、いままで人類が経験したことのない、まるで現実世界のような立体的仮想空間に侵入できるようになる。するとそこには様々なアプリが揃っていて、たとえば「南海の楽園」のアイコンをポチっとタップすると、一瞬にして美女の待つ白い浜辺にまっしぐら!なんてことが起きるかも?
「冨岡さん、お食事ですよ」とロボット看護士のアイちゃんに肩をたたかれ現実に戻る。「なんだよ、いま良いところなのによう」としぶしぶ私は体を起こしゴーグルをはずした。もうこのホームに入所して2年になるが、最近では殆んどの時間をゴーグルをかぶり仮想世界で過ごしている。あちらでの生活は楽しい。自分のアバター(化身)は20歳、180センチのイケメン設定なのでモテモテのピッカピカ!
ここでは年齢、ルックスなどは全く関係ない。なりたい自分にいかようにでも変えられる。最近若い男を演じることに飽きたので、明日からは女性に変身だな。「とりあえずお目めパッチリ、ナイスバディーの若い浜ミエでいってみるか」。なにしろあちらでは整形し放題で美男美女しかいないのだ・・・。とまあこれは私が予想する近未来10年後の介護老人施設での話である。
宗教では人が死ぬと天国に行くと説く宗派が多い。でも死後の世界など実在するのか?誰も分からない。人間にとって天国こそ謎とされてきた最大の仮想世界なのだ。AIが加速度的に進歩している現代、死んで天国に行くという幻想すら可視化できるかも?「天国に行って両親に会いたい」と望むあなた!「大丈夫です、このヘッドマウント・ディスプレイをかぶりなさい」イメージすればお母さんが現れますよ。(ロボット介護士つきケアハウス、メタ・バーチャル見放題。月額0.02ビットコイン。勝田陶人舎・冨岡伸一)
500円玉
茶飲み話・500円玉
新500円硬貨が11月1日から発行された。旧硬貨と大きさや図柄は変わらないが、コインの表面が金、銀2色の色分けになったという。新規発行の理由は偽造防止だが、デジタル通貨に移行し現金の重要性が薄れる昨今では、あまり意味がないと思う・・・。硬貨にも表裏があるらしい。一般的に金額が大きく表記され、製造年が書いてあるほうが表だというが、日ごろ硬貨などまじまじ見ないので特に意識などない。
現在わが国では500円玉などのコインは政府発行だが、紙幣は日本銀行発行で2分されている。そこであらためて硬貨を良く見ると、裏には日本国と刻印がある。いっぽう紙幣には日本銀行券とだけの記載で日本国の文字はない。なぜ紙幣の発行が日本政府でなく日銀なのか非常に疑問であるが、その理由については歴史的に謎の部分が多いようだ。でも今後デジタル通貨に統一されると、政府と日銀のどちらがその発行元になるのか議論されるかも?
中央銀行という立場の日本銀行は独立行政法人であるが株式を発行していて、基本だれでも株主になることが出来る。現在その株は東証に上場されており、一株2万7千円ほどで一般人も買える。でもその流通量はごくわずかで、大半の株は日本政府保有だが、本当は海外のロスチャイルドなど巨大金融資本が大株主という噂もある。日本銀行は株主名簿の詳細は公開しないので、実状は分からない。
「おい!とタバコをくわえ万札を手渡す」するとホステスは笑いながらそれを丸め、ライターで火をつけ男の口元に。こんな成金達の悪ふざけが、札束の飛び交った昭和のバブル期に、銀座のクラブで流行ったことがあった。でもこの行為は罪に問われない。紙幣発行は政府でなく法人の日銀なので、焼こうが尻を拭こうと所有者の勝手らしい。ところが硬貨は違う、傷つけると法律で罰せられる。
現在1円玉でも故意に損傷した場合、法律では1年以下の懲役と20万円以下の罰金と定められている。子供の頃に八幡神社の参道を横切る京成電車の線路に1円玉を置き、ペッタンコにつぶれた玉を友達に自慢したあの行為が、20万円の罰金とは・・・。(いいじゃねえか、どうせ俺の1円なんだから。万札燃やすほうがもっとヤバイでしょう!勝田陶人舎・冨岡伸一)
選挙
茶飲み話・選挙
先日衆議院選挙が行なわれ、結果は自民党の単独過半数獲得で前回と大きく状況が変わることはなかった。しかし野党は立憲民主党が議席を減らし、そのぶん維新が議席を増やした。とくに印象に残ったのは、立憲の看板議員でもあるしゃべりな辻本議員が落選したことである。彼女は選挙前「私は選挙に強く、ブッチギリの当選」と豪語していたが、結果は維新の対立候補者に破れ、比例区でも落選した。
「もういい加減、検察に任せるべきモリカケから離れ政策論争しろよ。なんのために高い給料もらっているんだよ」と国会でのテレビ中継を腹だたしく眺めた人は、私も含めて多くいたと思う。特に先頭に立って声高にわめいていたのが辻本議員であった。モリカケ問題では「人一人が死んだ」と主張する立憲だが、長きにわたる執拗な追及が、逆に彼を精神的に追い詰めた可能性もある。私は国会とは尖閣問題その他、大所高所から山積する難題を議論する場だと思う。
また今回選挙後にネットで大きな話題になっているのが、TBSで放映した大田光の「選挙特番」である。確かに彼の配慮のない言動は度を越していた。ひごろ政治に無縁な、お笑いタレントが立場もわきまえず、有権者が足を運び1票を投じた「おらが先生」をおちょくる。そのうえ落胆する議員の弁明をさえぎり、「ご愁傷様」では本人はもちろん選んだ有権者の怒りは収まらない。
大田光にメインキャスターの大役任せれば、このような結末になるのは最初から百パーセントわかっていたはず!とあい方の田中も語っている。周囲の反対を押し切っての、この人選はTBSの社長じきじきの発案だという。すると全ての責任は社長個人にあるはず。社長は今すぐ当該議員に侘びをいれ、責任を取って辞職すべきである。国政選挙は議員にとっては命がけ、エンターテイメントではない。視聴率を上げたい一身で、社長自ら企画した特番がこのレベルではTBSも終わりだな・・・。
「口は禍の元」と昔よく聞いた。「男はだまってサッポロビール」の三船敏郎。「不器用ですから」言葉少なげ高倉健の時代はよかった。以前日本男児には寡黙の美学があった。我々が子供の頃は饒舌だと「男はペラペラしゃべるな」と母親によく注意された。それが関西から漫才ブームがやってくると、しゃべりな男がもてはやされるようになる。饒舌も極まって毒舌になれば人は離れていき、負け犬の遠吠えに代わる。(勝田陶人舎・冨岡伸一)