茶飲み話・マイムマイム

「マイムマイムと書いて、この曲を知らないと答える人はまずいないと思う」。10人集まればそれぞれに、青春時代のトキメキがあるはずだ。この曲はイスラエルのキブツ(集団農場)で生まれた。あまり雨の降らないこの地で、井戸を掘るとまれに水脈にあたる。すると歓喜した人々が手をとりあって叫び、周りで踊ったのが最初らしい。前進しながらマイムマイムと4回連呼するマイムというのはヘブライ語で水という名詞で、そのあとに続く何を言っているのか分からないラッタンタンの部分は、「ベッサソン」で幸せという意味だそうだ。

この曲について個人的な記憶をたどってみると、それは高校二年生秋の文化祭の日であった。通っていた市川高校は、当時まだ共学になる前で私立の男子校である。そこで市内に数校あった女子高生と交際している生徒も少なからずいた。すると文化祭ともなれば、多くの女子が来校する。お目当ては広い校庭で開催されるイベントで、皆が楽しみにしているマイムマイムのフォークダンスである。

しかし私はこの輪の中には入れず、遠くからただ傍観していた。別に女子と手を繋ぐことに抵抗があったわけではないが、あえてそうしたくない自分がいることに、その時にはっきりと気づいたのだ・・・。そこで友人と顔を合わせぬように裏門から通りに出ると、自宅に帰る方向を目指した。そして何度か立ち止まり振りかえるが、歩みは止めずにいた。マイムマイムの旋律は徐々に小さくなり、やがて鳥のさえずりに代わった。

「若きウェルテルの悩み」ゲーテのこの小説は青年ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ思いに絶望して自殺するまでを描いている。この本は出版当時の18世紀ベストセラーとなり、主人公をまねて自殺者が急増し、「精神的インフルエンザの病原体」とまで呼ばれていた・・・。このウィルスに一度感染するとコロナのように、その後遺症にしばらく悩むことになる。リアルな恋愛よりも、片思いのロウソクの炎の方がましだと。

観念的に人生や恋愛を捉え、思い悩む若者の話など最近あまり聞かなくなった。若い人たちの恋愛感情は当然時代によっても変化する。われわれの世代とは違い、子供の頃から学校でも男女分け隔てなく接しているので、異性を意識する感情は昔より希薄になっている。文学書を抱え、恋愛感情を押し殺してもがく、マイムマイムの胸キュン青春など、今では閉じられた本の中の一節であるのか?(勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

茶飲み話・電磁波

「まったく、日本を取り巻く隣国はろくな国がないですね」西に南北朝鮮と中共、北にロシア、東にアメリカと陰謀と独裁にまみれた国々ばかりです。表面上は友好的にふるまう米国とて、一皮向けば何を考えているのか分からない。かつて台頭する日本を太平洋戦争に導き原爆投下して壊滅させ、70年たった今でも軍事的に実効支配をしている。そのため日本政府は独自外交など展開できずに、厳密には米国の属国としての地位に甘んじる。

先日ロシアでは選挙があり、プーチン大統領が望めば半永久的に大統領でいられる法案が可決してしまった。同時に現状の国土を変更しない領土法案も承認されたので、北方領土が日本に返還されることはほぼなくなった。もと「ソ連国家保安委員会KGB」出身のプーチン大統領は恐ろしい。秘密警察に所属した経験を活かし、自分の政敵を収監して拷問や脳にダメージを与える機器使用など、独裁政権の確立を確固たるものにしている。

「ハバナ症候群究明へ」の記事が最近読売新聞朝刊にのった。最初はこの聞きなれない言葉の意味がわからなかったが、米国国家機密を担当するCIAの職員らが、ある日突然、めまい、頭痛、耳鳴りにおそわれ、脳損傷に至るケースがあるという。原因は分からなかったが、近年ロシアが長年研究していた電磁波による特殊な武器使用によるものだたと明らかになった。この疾病は最初にキューバのハバナ米大使館で報告されたので、ハバナ症候群と名付けられたという。

電磁波といえば工房近くには高圧線の鉄塔が連なり、近隣の家々では電磁波発生による健康被害などないのかが気にかかる。でもこの鉄塔が老朽化によるものか、数年前に突然より高い鉄塔に替えられた。やはり一部の人が心配するように、高圧線の発する電磁波は健康に良くないのではという疑問もわいた。むかしは高圧線の真下では建物が建てられなかったが、最近では建設許可が下りるらしい。でも線の切断など皆無ではないと思うので二の足を踏む。

眼に見えない電磁波を照射され、気がついてみたら廃人になっていたなどということがありえる。アメリカでは政府の関係者など、すでに200人以上の被害事例が報告されていて、頭痛などの後遺症に苦しむ人もいるらしい。全く中国由来のコロナウィルスの次は、ロシアの電磁波攻撃による脳疾患!そして空からは北朝鮮のミサイルが落ちてくるかも?世の中ハイテク社会になると眼に見えない様々な危機がやってくる。(勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

茶飲み話・方丈記

「ついに来たか!」と突然の揺れにビックリして飛び起きる。先日10年ぶりに首都圏を襲った地震は場所によっては震度5強を記録した。しかし幸いにも激しい揺れは短期で収まり、人口密集地の都会でもそれほどの被害も出ずにすんだ。3っつの巨大プレートがぶつかり合う関東地方は、世界でも名だたる地震発生地であり、たびたび起こる小さな揺れには慣れている人々も、今回の揺れは驚いたと思う。

自宅の被害は全くなかったが、工房では土曜日に本焼きをするために窯詰めした棚板の一部が崩れ、作品が破損した。運よく壊れた作品は生徒さんのものではなかったので、それを取り出し並べ替えて事なきを得た。陶芸は高温焼成するので破損はつきものである。窯を開け作品を取り出して厳密に見れば、歪み、ひび割れ、釉だれ、など欠陥品との戦いであるといえる。いつしか理想の作品との出会いを夢見て、今回も焼成窯の点火スイッチを押した。

地震など天変地異といえば、私の好きな「方丈記」をおもいだす・・・。記述では鎌倉時代の元暦2年、巨大地震が起きて、山が崩れ川をせき止め、津波が起き陸を覆い、地割れして水が噴出、いやもう大変な物凄さであったそうだ。都の殆んどの建物は倒壊し、多くの死人が出たという。この時の大地震ほど悲惨なものはないと、作者「鴨長明」は綴っている。この頃の京都は、大火災や干ばつ飢謹、疫病などが流行し、凄惨を極めたらしい。

「人里はなれた田舎での隠遁生活、あこがれるなあ!」と青春時代は一人で読書などをして過ごすことが好きだった私は、鴨長明など隠遁生活者に心をよせた。そこで若くして晩年の仙人生活を夢想し、準備を始めたのが里山での作陶生活である。そして50歳の時に八千代市郊外に陶庵を結び、静かに自分と向き合う時間をもった。ところがだ、40才の時に陶芸と同時に始めた社交ダンスを習うと、「内向的だと思っていた自分は意外と社交的なんだ」と新たな自身を発見。そして歳を重ねてもその感情は継続し現在に至る・・・。

人生など本当に何が起こるかわからない。一夜にして平穏な生活が破壊されて路頭に迷うこともある。今心配されている災害の一つに南海トラフ地震がある。この地震が実際に起きれば、津波により太平洋側の主要都市はことごとく破壊され、日本は甚大な被害を受ける。でもこの地震は今後2,30年の間に必ず起きるというので、地震がくるたびに南海トラフが頭によぎる。(あらためて方丈記を読んで南海トラフの悲惨な状況を想像してみる。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

茶飲み話・新総理

先日の総裁選では前評判の高かった河野太郎さんではなく、劣勢が伝えられていた岸田さんに決定した。テレビや新聞などマスコミ報道は河野さんがダントツトップで、他の候補を圧倒しているというキャンペーンを張っていたが、まったく逆の結果となった。いっぽうユーチューブなどのネット情報では河野さん自身の人格的問題や、中国に忖度する政治姿勢が非難をあびていた。

スマホの登場により時代はドンドン変わっていく。現在ではSNSで個々人がチャンネルを作り直接発言するので、その人の考えが歪曲されずに伝えられるようになった。以前はマスコミで真実を発言すれど、局やディレクターの考えで記事や意見は編集されて伝えられた。今まで世論操作に利用されていたマスコミはもうその役目を終えている。今回も中国にとって都合の悪い女性候補の高市さんをマスコミが否定すれど、テレビ好きの老人以外はマスコミ情報などに左右されない。

「今の世の中、丸裸のスッポンポン!」べつにエロい話ではないです。現在では有名人になると、かつてのマスメディアではあまり報道されことのなかった多くのプライベートや秘密が、ネット報道や一部過激な週刊誌により白日にさらされる。その対象は皇室すら例外でなく、眞子様や小室母の問題なども多く取り上げられる。

今回の河野さん落選もまたネットによるところが大きいと思う。ネット情報では河野さんの実家が経営する会社が中国に工場を持ち、多くの利益を得ているため中国に頭が上がらない!というスレッドが多くたっていた。私はその真意は知らぬが、マスメディアでは全く報道されないこれらの事柄が、勝敗を分ける結果となるのも最近の特徴だ。それに中国ベッタリのレッテルを貼られた、石破さんと組んだことも、親中国のイメージを増幅させたと思う。

「権力者にとってマスメディアの時代はよかったですよね!」都合の悪い情報は金や力で上からねじ伏せれば、相手は会社なので流失を止めることもできた。しかしネット社会では発信が個人なので、あらゆる隙間から真実が浸み出してくる・・・。(中国では最近ネットの情報規制がいちだんと厳しくなっている。でも言論の自由なしに、豊かな社会の実現などあるのか?勝田陶人舎・冨岡伸一)

茶飲み話・オンラインツアー

長引く感染症の収束もなんとなく先が見えてきたが、航空業界や旅行業界にあたえた損失は大きい。最近あのJALが自社ビルを売却し、続いてトラベル会社のJTBやHISも相次いで本社ビルを売りに出し、大幅な赤字返済にあてた。我々が青春時代にあこがれの就職先にひとつでもあったJTBも、半世紀以上も経過すると衰退産業の仲間入りとは、企業の栄枯盛衰をかんじる。

最近オンラインツアーというのが流行らしい。まだ海外旅行などが規制されているさなか、アフリカなどに滞在するツアーガイドが旅行者の代わりにライオンの住むサバンナなどに出かけ、現地を案内して回る。参加者は自宅にいながら冷たいハイボール片手にズームで結ばれ、おっかなびっくり旅行気分に浸れる。参加費は数千円だというので人気があるという。でもあまり人の行かない危険地域が好まれるというので、ガイドする人も大変だ。

「これっていったい何のためにあるのだ?」部屋のすみある白い陶磁器製の便器のような桶を眺めて思案した。シンクのように蛇口も二つ付いているので、たぶん洗濯桶なのだろうと思い私は洗濯に使った。実際にこれは下の部分を洗うビデ桶であると知ったのは大分後の事である。フランス人はあまり体を洗わないので、日常はこれですますと聞いた。

モンマルトルの丘を正面に見ると、左手の方向にはアラブ人の多く居住する地域がある。当時まだ23歳だった私はあこがれのパリへと旅立ったのだ。そして金がないので、パリの滞在中に選んだのが下層民の住む安宿であった。道路には職にあぶれたアラブ人がたむろし、鋭いまなざしでこちらを眺める。でもそのころ日本人を始め東洋人などみな貧しかったので、貧乏スタイルの私に金品を要求したら、「タバコくれねえか」と逆に返せばよい程度の乗りでどこにでも行った。

怖いもの知らずであったあの頃なら、オンラインツアーガイド私も魅力に感じたと思う。当時ヨーロッパを旅すると冒険好きの日本人の若者と度々出合った。その中の一人がイスラエルのキブツ(集団農場)から戻ってきたという。そこは天国のようなところで三食付いて給料ももらえる。恋愛は自由で外国人も受け入れてくれるという話を聞いた。心を動かされたが「でも戦争が始まったら兵役があるかも」というのであきらめた・・・。(あの時キブツに行ってれば日系ユダヤ人だったかも?勝田陶人舎・冨岡伸一)

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