茶飲み話・天然ガス

「今年の冬の北半球は、例年よりも寒いようだ」赤道直下の南米ペルー沖では昨年ラニーニャ現象が起きていて、統計によればこの地域での海水温が下がるとその年は厳冬になるという。現在世界中で二酸化炭素排出規制により、石炭火力発電などの化石燃料使用による発電が規制されている。そのため太陽光など自然エネルギー使用に舵を取った中国では、石炭火力発電を縮小したので、電力不足により停電が頻発しているようだ。

毎年冬になると、寒冷地北京など中国主要都市では石炭暖房による大気汚染が深刻になる。しかし今年は冬季オリンピックが北京で開催される予定である。そこで面子にこだわる習近平さんが、北京にすみきった青空を取り戻せと指示を出す。すると石炭より環境負荷の少ない天然ガスに需要が集中し、買占めによる価格高騰を招いている。

「夏だというのに、ジョイントされたパイプからは、バラバラと凍結した氷の破片が落ちてくる」それを避けながら当時新入社員であった私は、船の甲板で作業を見守った。東京電力の根岸工場には新しい丸い天然ガス専用のダンクがいくつか並んでいる。そこに特殊な構造のLNG船からパイプラインでガスを送るのだ。このタンカーの建造には莫大なコストが掛った。そこで船の借り賃は年契約なのでアラスカ、東京間を何往復できるかを競って作業の時間短縮に励んだ。

燃料の天然ガスといえば、私は過去に苦い思い出がある。大学を卒業したあと一年遅れで就職した会社が、原油や燃料の輸送業務を行なっていた。油田から原油を汲み上げると、天然ガスも同時に噴出する。しかしその頃は気体である天然ガスは体積が大きく輸送できないので、むだに現地で燃焼されていた。これを体積600分の1に圧縮し、ガスを液体にしてマイナス160度の低温で運ぶ、当時としては画期的な計画が始まる。

「何で持ち場をはなれたんだ!」先輩にこっぴどく怒鳴り飛ばされた。何回かこの業務を担当するうちについ魔が差した。仲良くなった外国人船員の「一緒に飯喰いに行こう」の誘いに乗ってしまい、一時間くらいならと持ち場を離れた大失態・・・。もしこの件がなかったら退職せずに、サラリーマン生活を続けていたかも?と思うと人生何が幸いするか分からない。(緊迫するウクライナとロシアが戦争になると、天然ガス価格は高騰する。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

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