茶飲み話・御フランス

 

我々が青春時代にあこがれていた国はなんといってもフランスである・・・。「これ、御フランス製ざあます!」とマダムをきどる女性が言えば羨望のまなざしで見つめる。なにしろ全て高級とされたフランスには「御」をつけて敬意をあらわした人もいて、今考えるとなんとも滑稽であった。そう言う私もフランスかぶれで、日本人には難しとされたフランス語の習得に時間を割いた。

特に当時流行っていたシャンソンが好きで、原語で「枯れ葉」を歌えたらカッコイイ!のノリで懸命におぼえた。事実フランス人の前で枯れ葉を歌ったのだから、かなりいい度胸していたと思う。そのほか印象派の絵画や、ボードレールの詩、サルトルの哲学、ディオールのモードなど多方面に興味を抱いた。当時は「ああ、なんでフランス人に生まれてこなかったのだろう!」ぼやくことしきりだった。

ところが半世紀も経過すると、フランスに対するあこがれは徐々に消え、今ではエルメスやビトンのバックすら誇らしげに持つ日本人は少ない。私自身も現在はすっかり日本回帰で神道や仏教に興味を持ち、神社仏閣を訪ねる旅をしたいなどと心境の変化著しい。最近時間があると明治神宮を度々参拝する。そのつど森に囲まれた神宮を拝むと「ああ、日本人に生まれて本当に良かった!」と感謝の念だ。

時代とは面白いものでフランス本国では、今空前の日本ブームであるという。特に日本のアニメで育った若い人たちにこの傾向が強く、食事やJポップ、原宿ファッションや温泉など日本文化にあこがれが強く、日本語を学ぶ人も多いようである・・・。まさかあの利己的なフランス人が「ボンジュール」でなく、「こんにちわ」などと頭をペコリと下げる時代が来るとわねえ!

ところが今そのフランスで大変な事が起こっている。警察官の停止命令を無視したアラブ系の若者が銃で撃たれ死亡した。するとそれに抗議する移民集団が各都市で暴徒化し、略奪や破壊活動を行っている。この原因は労働不足を補うために安易に多くの移民を入れたためだ。エレガントであこがれた、あのフランスが外国人に占拠され崩壊の危機に・・・。(移民を多く入れれば日本も壊れる。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

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