茶飲み話・コイン

 

最近のように訪日外国人が激増するとオーバーツーリズムで京都や奈良を始め、日本各地の観光都市では様々な問題が起こり地域住民を悩ませている。もう半世紀近くも前の話だが、当時のイタリアでもオーバーツーリズムの問題が起こっていて、その一つがコイン不足である。多くの観光客が空港での出国の際にコインは両替せず記念に持ち帰る。するとその数が膨大でたちまちスモールコインが消えていった。

「コインが無いの、飴で良い?」と小銭の代わりに飴玉三個を手渡された。買い物の後、どこの店でも500リラ(日本円で40円)以下の小銭はコインでなく、都市銀行が独自に発行する小さな紙のお札か飴玉である。当時のイタリアもコインの製造には刻印金額以上のコストかかり、作れば作るほど赤字になるので政府は新規のコイン製造を半ばあきらめていた。

でも最近は日本でも大量に外国人がやって来るが、コイン不足の問題はまだ起こってない。それは外国人の多くはアリペイなどのスマホやカード決済なのでスモールコインのニーズが低い。これは国にとっても良いことで、もし昔のように現金決済ならたちまち小銭不足に悩まされていたと思う。そして日本人もスーパーの買い物でも、殆どカード決済なので財布が小銭でふくらむこともないようだ。

もう数年もすると神社仏閣の賽銭箱もなくなり、電子決済になる可能性がある。でも好きな神社にお参りに行って、賽銭を投げずにスマホタッチでは何となく味気ない。二拍手とチャリンの音で願掛けも叶う気になる。でも賽銭泥棒も時々に出没するので、盗難防止には良いのかも・・・。

昭和も20年代中頃は殆どの通貨が紙幣であった。5円玉だけは比較的流通していたが、1円、10円、50円、100円、それ以上も全部紙幣である。戦争で兵器に使う金属が不足し、コイン製造に回す金属さえ足りなかった。そして戦後世の中が落ち着くと、最初に登場したのが昭和24年穴あき5円玉、26年10円玉、29年1円玉、50円玉と続き、百円玉の発行が31年となる。(インフレが進行すると紙幣の価値は下がるが、金属の値上がりでコインの価値は上がる。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

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