いま世界を見渡すと、どこの国でも平穏に暮らしていた中産階級が没落し、一部の超富裕層と多くの貧困層にはっきりと分かれ始めている。特にお隣中国では不動産バブルの崩壊でこの傾向が激しく、つい数年までリッチであった都市部の中産階級が高額なローン返済で苦しんでいる。そのため彼らの日常生活は崩壊し、困窮の中で路頭に迷う若者のも多くいる。
わが国でも35年前の不動産バブル崩壊で、高額のローンを抱え借金地獄に落ちた人もいたが、中国バブルは日本の数十倍もの規模なのでその解決策がなく、今後は経済回復が見込めない。「あと5年で中国はアメリカを追い越す!」などのスローガンは幻想の中に消えていった。それどころか中国も日本同様、超高齢化社会に突入するので、年金制度が未発達な中国では誰が年寄りの面倒をみるのかが、大きな問題となってくる。
日本でも戦前は高齢者の生活は家族が面倒をみるのが常識であったが、いつの頃からか高齢者は国が面倒をみるという常識に代わり、年金や医療福祉などの制度が整備されていった。私の親の世代まではどこの家でも男子の誕生を願った。それは女子は嫁に行くので、老後生活を見てもらえない。そこで年金代わりに家計を担う男子の誕生を渇望したのだ。でも年金制度が整った今では、親元に寄り添う女子の方が好まれている。
昔は一家の大黒柱として家計を支えた男たちも、いつの頃からか核家族になり家計の負担が軽減された。ところが現在の若い人たちを見ると、家計負担は男性の責任から夫婦での分担へと変わってきている。そして給料はそれぞれが管理し、項目ごとの支出を割り振っているようだ。そのうえ夫婦がお互いの貯蓄額などをしらないという。これは親の面倒は長男が見るのは当然と言われ、人より多く稼いだ給料は全額妻に渡してきた私達の世代としてはなんとも考え深い。
ここ30年間、日本はデフレで給料が上がらず、庶民の生活はジリジリと苦しくなっている。でもこれらの一因には男性の生活力の低下があるのではないか?平たく言えば何が何でも稼ぐ!などという気概が感じられないのだ。なんとなく良い人が増え、世の中は平穏無事になった。でも男はもっとパワーを出しきらないと日本はますます衰退していく。(いよいよ男、トランプが大統領になる。世の中の価値観がドテンするので楽しみだ!勝田陶人舎・冨岡伸一)