最近のように世界中が混乱してくると、不安に駆られる人々の関心が増すのが最も安定した資産のゴールドである。世の中が平穏無事で経済が安定していれば、持っていても金利のつかないゴールドなど全く注目されない。銀行預金にすれば多少の金利を頂ける。ところが社会が混乱してインフレになると、ゴールドの値上がりの方が預金や国債の金利より高くなるので、資金がゴールドの方に流れてくる。
昔の我が国は世界に冠たるゴールドの産出国であった。それが今では日本各地にあった金鉱山は戦後徐々に閉山され、現在は鹿児島県の菱刈鉱山のみになった。近年我が国は工業が発展し、経済的に豊かになったため過酷な鉱山労働などは嫌われ、いつしか金鉱山は歴史の中に消えていった。でもその中にはまだ金が眠っているのに、放置された鉱山もあるのだ。
「黄金の国ジパングが復活か!」忘れ去られた過去の扉を再び開こうとする企業が現れている。それもカナダやオーストラリアの鉱山会社である。彼らは日本各地の鉱山跡を巡り詳しく調査を始め、鉱山の権益を手に入れるために動いている。このままでは呑気な日本人を差し置いて漁夫の利を奪われかねない。今以上に金価格が上昇すれば日本の金鉱山も息を吹き返す可能性も高いのだ。
実は大量の金が貯蔵されている場所がある。それは海である。海水の中には多くの金が溶けていて、もしそれを取り出せば莫大な利益につながる。しかしその含有量少なくとても採算にあわない。でも深海火山近くの熱水口から噴き出す湯から直接に金を回収すれば、効率よく金が回収できる。しかし今まではその方法が分からなかった。
ところが最近東京大学の研究チームが伊豆諸島の青ヶ島近海の熱水口から効率よく金を取り出す方法を開発した。ヨードを塗ったネットを吹き出し口に置くと金の粒子が付着するらしい。そこで現在、青ヶ島は新たな金採掘場所として注目されている。いずれにしても温泉の豊富な我が国にはまだ大量の金がねむっているはずである。(最近私は高くなったゴールドよりも、昔栄えた金鉱山に注目している。勝田陶人舎・冨岡伸一)