茶飲み話・ラーメン

 

最近日本でも個人商店のこだわりラーメンは1,000円前後の価格が一般的となった。ところが近年の日本食ブームでニューヨークやパリに出店しているラーメン店の価格は4,5千円もする。私は海外でラーメンを喰った経験は40年前にさかのぼる。当時日本は諸物価高騰のバブルを迎えるころで、円高が進み海外に出ると物価が安く感じた。そこで多くの日本人観光客がパリのルイヴィトンの店舗に押しかけ、バックなどを爆買いしていた。

海外旅行も1週間たつと日本食が食べたくなる。しかし当時は日本食レストランなど殆どない時代で、華僑が経営する中華料理店を探し日本食に代替していた。しかしパリにはオペラ座近くに唯一、大阪屋というラーメン店があり日本人で混みあっていた。でも価格は2倍程度で特別高いという印象はなかったが、その頃のフランス人は日本食などに全く興味がなく、見向きもされなかったのだ。

ところが日本のバブル崩壊で賃金上昇しないデフレの時代が30年も続くと、状況は一変する。日本がデフレの間に海外ではインフレが進行し、気付いてみたら先進国と比較すると給料も物価も3分の1にまで低下している。すると日本人の多くは海外旅行が出来なくなり、代わりの多くの外国人観光客が日本を訪れるようになった。そして彼らは異口同音に日本の物価が安いと言う。この発言は喜んで良いやら悲しんで良いやらだが、個人的には悲しむべき現象であると思う。

最近海外ではインフレはやや鈍化してきているが、逆に我が国のインフレはどんどん進んでいく。水は高き所から低い所にながれていき、やがて平準化される。今先進国に行き、4千円のラーメンが高いと感じない人以外の日本人は皆、知らぬ間に貧困に陥っている。これから物価上昇と同じく給料が上がっていけば良いが、大手企業以外は大幅な賃金上昇は見られない。すでに日本経済は衰退期に入っており、生活水準は低下するばかりである。

でも近年、爆買いなどで話題になった中国では今まさに繁栄を誇ったバブルが崩壊し、多くの民衆が失業して生活苦にあえいでいる。特に住宅バブルの崩壊はローン地獄に突き落とす。そして家賃を払えない若者は橋の下にたむろし、カップラーメンをすするのだ。ラーメンはまさに命を繋ぐ食品になった。私は高校時代チキンラーメンが好きで毎朝食べ続けたが1年で飽きてしまった。(これから庶民は貧困に負けないメンタルをきたえる事が重要かも。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

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