先日タンスの整理をしていたら、ほとんど忘れてかけていた切手のコレクションブックが何冊か出てきた。パラパラとページをめくると大型の切手「月と雁」が目に留まる。この切手は「見返り美人」と共に小学時代に憧れていた貴重な1枚である。当時は高価で取引されていて、小学生の小遣いではとても買える値段ではなかった。しかし現在値を調べるとたった千円前後の価格でしかない。通常は時が経過すればこれらの価値は高まるが、切手に関しては逆にどんどん値段が下がってきている。切手のコレクションがブームであった当時は、記念切手の価格は毎年上昇していった。1年も経つと価格が2倍になることもあるので、小遣い稼ぎのために子供達もこぞって切手を収集していた。
「もうこんなに人が並んでいるのか!」早朝友達と駆け足で市川郵便局に到着すると、すでに大勢の人達が入り口に押し寄せていた。「売切れてしまうかもしれないね?」と不安を抱きながら長い列の後ろについてみる。記念切手収集がブームのころ、切手発売日の朝はどこの郵便局も人々で賑わっていた。当時は封書の値段が10円であったので、ほとんどの記念切手の値段は10円であった。やっと手に入れた一枚の新しい切手をコレクションブックに、差し込むと嬉しさがこみ上げてきた。友達とはコレクションブックを見せ合い、同じ物を2枚持っていると交換などしていたが、そのご徐々にこの一大ブームも下火になっていった。
記念切手の収集が忘れ去られた後に、ブームとなったのがテレホンカードの収集である。人気アイドルのテレホンカードが高値で取引されて話題になった。しかし暫くして携帯電話が一般にも普及し始めると、公衆電話も街中から消えて需要がなくなりこのブームも終わった・・・。でも私には今も大切に保管している一枚のテレホンカードがある。それは30年以上も前に、読売巨人軍が日本シリーズに優勝した時のゴールドに輝く、記念テレホンカードである。ゴルフ会員権を買ったおまけでもらった一枚であるが、その後このゴルフ場は潰れて会員権は紙くずに!なんとも高いテレホンカードになっている。このカードは巨人軍の元選手であった国松さんとの縁で、ゴルフ場のオーナーが手に入れ会員に配ったそうだ。
「ナボナはお菓子のホームラン王です」。王選手のコマーシャルで有名になったナボナは国松選手の奥さん実家である。しかしこのナボナも先日シャトレーゼに買収された。(勝田陶人舎・冨岡伸一)
まさしく諸行無常ですね。我欲を除けば、諸法実相として収集している時の”ワクワク感”だったのでしょうか。失いたくないのは、この”ワクワク感”だと思います。