「次回5年後の新車購入はEV電気自動車になるかも知れませんね」の言葉を残し、私はホンダ・カーディーラーを後にした。その日一ヶ月ほど前にオーダーしたエヌボックス・カスタムという名の箱型軽自動車が納車になったのだ。さっそく販売店に出かけ、まだ透明のビニールシートで覆われた運転席に座ると、営業担当者から盛り沢山の電子機器のスペック操作ボタンの説明を聞いた。でもあまりに多すぎて一度では憶えきれない。いろいろ繰り返し聞くが益々混乱するので、理解した振りをして自宅に戻った。
歳を重ねるとコンがなくなりマニュアル本など、めんどうで読む気にならない。しかし今の時代はユーチューブ動画という優れ物がある。パソコンを開き「エヌボックスの操作法」で検索すれば、瞬時に何人もの人の説明動画がアップする。実際の車と比較し、そのつど何回も見比べるとデジタル認知症の私でも、なんとなくその複雑なスペックも理解できるようになった。まえのブログで最近の自動停止装置など運転補助付きの車は、バカチョン自動車だと命名したが間違っていた。実際に乗ってみると、非常にお利口な「スマートカー」だと認識するにいたる。
十年ほど前にガラ系の携帯電話がスマートホーンに変わり始めると、まさかここまでの便利ツールになるとは思っていなかったが、知らぬ間に肌身離せない必需品になった。スマートホーンからスマートカーになり、いよいよスマートハウスへと移行する。すると賢い我が家が自ら掃除、洗濯、防犯、話し相手など文句も言わず、家事のほとんどを勝手にこなすかも?するとこれからは奥さんのお小言など聞かずに生活できる可能性もある。恋愛感情など3年もすれば醒めるので、よほどスピリットとフィジカルな面での一致がないと、結婚など束縛されるだけだ!という感情もともなう。
最近結婚式などのセレモニーもドンドンと簡素になっている。どうせすぐ分かれるなら、高額な式の費用負担は無駄になると考える人もいる。今年はコロナで式を挙げないカップルも増えるが、収束しても一度崩れた慣習はもう元に戻らないと思う・・・?一歩先をいく、恋愛好きのフランス人などは子供がいても籍もいれず、事実婚で生活するカップルも多い。教会で式を挙げ神前で、「一生添い遂げますか」の神父の問いに、正直に「たぶん無理!」では式のいみもない。
加速度的に世の中の様式が変化するこれからの時代、家族形態も今のままであるわけ無い。必要な時だけお互いに共生するようになる。同姓婚も一般的に認められると、ファミリーは男女一対であるというベースも崩れる。あと半世紀も経過するとサイボーグやバーチャル・ヒューマンとの共生もあるかもね・・・。
(過去を尊び、未来を志向する茶碗作家。勝田陶人舎・冨岡伸一)