高騰を続けてきたロレックス腕時計の中古価格が、高値から42パーセントほど下落している。原因はこれまでに高騰した反動と、購入の主体であった中国人が自国の不動産バブル崩壊により、多額の負債を抱え売却しているからである。そのため在庫がだぶつきスイスのロレックス本社も現在では生産調整をしており、需要の回復にはしばらく時間がかかりそうだ。
日本も含め欧米各国による経済制裁と不動産バブル崩壊は中国経済の低迷を増幅し、その影響は我が国にも浸透し始めている。「こんな高額マンション、いったい誰が買うのよ!」と異常に値上がりした都心のマンションも、主な買い手でああった中国人の購入が減り始め高止まりをしている。もし利にさとい彼らがいっせいに売却に走れば大幅下落することもありえる。
日本がデフレで殆ど物価が上昇しない間も、裕福になった中国人によって買われた不動産や商品は高騰していた。都心のマンションやロレックスの他にも、高級ワインやサントリーウイスキー山崎、エルメスのバーキン、はてはダイアモンドのリングまでいろいろある。しかし異常に高騰し庶民感覚から乖離したものは、いづれある程度本来の価格に戻るはずだ。
「バブルとインフレは同じではない!」バブルとは特定のものが異常に値上がりする現象で、関わりのない庶民は無視も出来る。都心のタワマンがいくら高騰しようが、住みたくもないので私には関係ない。ところが全ての物価が押し上げられるインフレは、年金生活者を直接圧迫する。三度の飯や交通機関など利用しないわけには行かない。
先日も20年間通い続ける千円床屋が1350円に値上げした。たった1年前の1150円からの再値上げである。そして来年の後半は、たぶん1500円だ。私は短髪が好きなので月一の散髪は欠かさないが、このさい床屋に行かず長髪にする手もある。でも白髪まじりの長髪はなんともジジ臭い!(備えあれば患いなし。忍び寄るインフレ時代の対策が重要だ。勝田陶人舎・冨岡伸一)