茶飲み話・詐欺

 

「最近、新たなオレオレ詐欺が起こる兆しがある!」それはAIの急速な進歩で人の音声が正確にコピーできるようになり、他人になりすまし会話することが可能となったからだ。電話で話せば音声では全く区別できないので、旦那になりすまし奥さんをだますことも出来るらしい。オレオレと言わなくても普通に話せば簡単に金の請求が可能だという。

何しろ声紋が同じなので、音声入力のセキュリティさえ突破できる。ぼーっとしていると声だけの仮想の女房に騙され、身ぐるみ剝がされることもある。でも音声さえ録音しておけば、亡くなった旦那の声に変換して会話することも出来るので、寂しがり屋の未亡人などには朗報かもしれないね。

でも実際には「せっかくヒトリになれたのに今さら旦那の声、冗談じゃない!」という奥さんが多いと思う。ある統計によると熟年夫婦に「もう一度結婚するとしたら同じ人を選びますか?」の問いに過半数の男性は「イエス」だが、女性のほとんどは「ノウ」であるという。女性の方が歴史的に長く束縛されてきたぶん、自由を求める感情は強いらしい。

ところで音声入力と言えばとりあえず今はアマゾンのアレクサだ。ベットの中から「アレクサ、おやすみ」の声掛けで電気を消してくれたり、「アレクサ、今日の予定は」で大切な用事を教えてくれたりといろいろ便利らしい。しかしオウムやインコを飼っている家は注意しないとね!彼らが勝手にアレクサにネット経由で買い物の指示を出し、覚えのない物品がピンポンと宅配されるという。

アレクサに様々な人の声に変換できる機能をつけたらどうだろう?単身赴任の時などは、奥さんの声に変換すれば気持ち休まるかもね。でも男性だって奥さんの声より、色っぽいマリリンの声の方がよいにきまってる・・・。(冗談はともかく、新手のオレオレ詐欺には注意してください。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

茶飲み話・築地

 

ゴールデンウイークも終わり、木々の緑が増す季節になっても訪日外国人数はいっこうに減らない。いま世界を見渡すと一触即発の危険地帯が多く、女性や年配者の旅行は敬遠される。そこで安心安全が売りの我が国に旅行客が集中することになる。そのうえ円安で物価は安く、自然が豊かで観光地も豊富とくれば文句のつけようもない。

「日本の清潔なシャワートイレは最高!」と喜ぶ外国人観光客が殆どだが、同時に日本の食文化もすこぶる評判が良い。レストランでの食事やコンビニでのパックランチ、菓子類にいたるまで、値段のわりにはクオリティーが非常に高いと言う。しかしこれは基本食材の良しあしで決まり、農、漁業従事者の食材に対する徹底した管理によるところが大きいと思う。

これから未来を見つめると急激なテクノロジーによる世に中の変化は予想しがたい。だがどんなに世の中が変わろうとも生身の人間である以上、食事と排泄はついてまわる。うまい食事にきれいなトイレ!これは日々生活の根幹をなすもので人類の最重要事項だ。でも他国の人々はここに意識があまり向いてない。ジャンクフードに汚れた公衆トイレでは美しい観光地の魅力もうすれる。

最近、築地場外市場には多くの外国人旅行客が訪れている。魚河岸はすでに豊洲に移転し場外市場だけがこの場所に残ったが、銀座に近い地の利から現在では外国人の食べ歩き観光スポットになった。でも実際には食材や寿司などの飲食も別段他所より安いわけではなく、オノボリサン御用達の昭和レトロのノスタルジック・飲食テーマパークといったぐあいだ。

「日本人は本当に魚を生で食うのか?気持ち悪い!」とケゲンナ顔でよくきかれた。もう40年以上も前のこと、ヨーロッパを列車で移動していると比較的魚を喰うイタリア人も、魚の生食は考えられない様子だった。ところが今はどうだ!刺身や寿司を喰いに欧米から沢山の人達がやってくる・・・。(イタリアにはカルパッチョがあるという人がいるが、生魚のカルパッチョは日本人の発案です。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

茶飲み話・労働

 

「人類は徐々に過酷な労働から解放されることを理想に進歩してきた」。などと書けば、まるで社会学者のようであるが今日はこれを簡単に考えてみよう。昔は労働生産性を上げようとすれば多くの人手が必要であった。そこで半強制的に人を連れてきて作業させたり、極端な場合は奴隷にその過酷な肉体労働を強いた。ところが18世紀になると蒸気機関が発明され、人は徐々に重労働から解放されていく。

そして20世紀に入ると内燃機関から電気が普及すると、各種の家電製品やコンピューターが発明され人々の日常生活を変えていく。そして21世紀にはいるとスマホが登場し、SNSにより情報革命がおきて我々の生活は格段に便利になる。その間、日本においても盆暮れだけだった休日が週休二日になり、リモートなど自宅勤務も許される時代に変わった。

「しかし問題なのはこれからだ!」今話題になっているチャットGPTの進化版が先日発表された。驚異的な学習能力を持つこのAIが普及すると、多くのオフィスワークの必要がなくなり、弁護士などの(士)のつく職業も同時に劇的に効率化され、職を失う人も続出するとの予想だ。そして単純労働は知らぬ間にロボットに代替されている。

そして労働から解放され続ける人類は「一生好きなことだけをしてればよい時代へと進んでいく」。要は全員が好むと好まざると若い時から貴族生活を送れるわけだ。朝起きてゆっくりとメイドの用意したマイセンカップのダージリンティーを啜り、今日は何をしようか?などと考え、静かに広い庭園に目を移す。あいにく小雨模様なので、白いペルシャ猫を抱き書斎の扉を押すといった具合だ。

「お金の問題?」そんな下世話のこと考える必要ありません。貨幣などはなくなり、すべてがデジタル通貨になる。とりあえず国からは毎月一定の金額が生活費としてウォレットにチャージされ、ボランティアや善行などを行えばポイントが加金・・・?この速度で時代が進むと5年後の近未来すら分からない。いったいどんな時代になるやら楽しみであり、悩ましくもある。(このさき時代は悪く言えば総失業社会、よく言えば新貴族社会に向かう。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

 

茶飲み話・非常識

 

「日本の常識は世界の非常識!」と発言し、日本を欧米型個人主義社会に変えようと尽力していた一人の経済評論家がいた。彼の名はT・K、もう30年以上も前に日曜テレビ討論番組などで見かけた、禿を隠す独特のヘアースタイルとパイプをくわえた風体のアメリカ礼賛グローバリストである。彼は日本のローカルな村社会的国体やイエス・ノウをはっきり言わない国民性などを批判していた。

ところがそれから現代にいたっても日本人の民族性は殆ど変わっていない。でも最近はそのローカルな国体が逆に外国人から非常に評価が高い。日本に行けば何か自国と違う異文化体験できると人気があるのだ。欧米などは国境を開き、移民を大量に受け入れたため自国の文化が希薄化し、ごった煮の闇鍋状態になっている。そのため治安は悪化し、女性が夜一人で歩くこともできない。

「水から投入した昆布は沸騰する前に鍋から引き上げる。次に鰹節を入れたら1分弱で取り出す」。これは日本料理の原点である透き通って透明な「お出汁」の取り方である。濁らない「出汁」へのこだわりは、まさに料理だけでなく日本人の精神的美意識の根源であると私は感じている。日本文化は透明で清楚、清潔で純粋、そして混濁を避けるのが理想なのだ。

日本にはグローバル化の遅れにより、海外に汚染されない伝統、文化がまだ多く残っている。それを楽しみに現在多数の外国人が日本にやって来ていて、大きな観光資源になった。先進国でありながら英語があまり通じず批判も受けるが、言葉が通じないところが外国旅行の面白いところでもある。ウェルカムの気持ちがあれば心は通じ合う。

世界で行きたい国のナンバーワンになった日本に、この連休も多くの外国人達が押し寄せてきた。京都や奈良などの観光都市はもとより、東京や大阪のような大都市までがオバーツーリズムのためホテルの予約が取れない状況が続く。「日本の常識は世界の非常識」という異文化性が、逆に高い評価に変わった。(人手不足から安易に移民を多数入れ、「お澄まし」が「闇鍋」にならぬよう望むところだ。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

茶飲み話・コオロギⅡ

 

最近チマタではコオロギ食の是非が話題になっている。先日、河野大臣がコオロギを試食したあと、将来の食糧危機に対応するための有効な手段であると語ったとか?彼のあいかわらず独断と偏見は一部の保守層から批判を受けている。そもそも日本は少子化なので、よほどの天変地異でもない限り食糧危機など起こらないのではと願う。

コオロギ食を推進するほど食糧不足が心配なら、人口減少はむしろ望むところである。いっぽう過激な環境保護団体の主張は、牛や豚の飼育は動物たちが二酸化炭素を多く排出するので抑制し、排出量のほとんど無いコオロギ食を奨励すべきと訳のわからないこと言う。それならいっそ増え続ける人類を、地球規模で削減するほうが早い。特に教育の行き届かない後進国の人口爆発は、食糧難による争いごとの絶えない未来を予感させる。

「給食のカボチャコロッケにコオロギパウダーがねりこまれていた」。というニュースが先日報道された。「え、ホント!」とびっくりだが、徳島大学と連携するコオロギパウダー・ベンチャービジネスの会社が、地元高等学校の給食にパウダーを提供したという。これに対し父兄からは猛反対の声が上がり、学校も戸惑っていた。

コオロギはエビ、カニなどと同じ甲殻類アレルギー源を持っていて、不用意に食べるとアレルギー反応を起こすらしい。実は私も甲殻類のアレルギーで多く食べるとジンマシンができる。いま無印良品ではコオロギ入りのクッキーを売っていて人気だというが、個人的にはこんなもの喰う人の気が知れない。

今からもう70年以上前の戦後、まだ幼児だった私の自宅近くには稲田が広がっていた。そして秋になると黄色く色づいた稲穂には大量のイナゴがとまる。まだ食糧難であったので、これを捕まえ炒って食べるという人もいた。しかしそれから数年たつと、イナゴが突然消える。原因は農薬散布の開始である・・・。(コオロギ食う前に増え続けて問題になっているクジラを喰えばよいのでは?団塊世代は学校給食の鯨肉を喰って腹を満たした。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

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