ヴィトン
1970年代の初めの頃だったと思う。友人の奥さんに自慢げに見せられたバックがある。ナイロンレザーの茶色地で日本の家紋のような模様が印刷されている、例のあれである。最初に見た時「何でそんなにこれが良いのか?」全く分からなかった。
t
しかし70年代も後半になると、徐々に街中でヴィトンを持つ人を見かけるようになる。そしてこのころヨーロッパ出張に行くと必ず「ヴィトンを買ってきてね」と頼まれるようになったが、当時パリのヴィトンの店に入るとそれでもまだ日本人の姿は少なかった。それが80年代になり欧州旅行が盛んになるとパリ土産の定番となる。しだいに店は日本人で混雑するようになり、一人でいくつも爆買いするるので日本に来る中国人のように、しだいに迷惑がられるようになった。
それで「そんなに売れるなら日本に出店してみたら」ということで、一流百貨店の中にテナントで店を出す。そして80年代後半のバブル期、ヴィトンをはじめ海外ブランドバックは全盛期になっていくが、バブルもはじけ長い景気後退期になると、徐々にヴィトンのバックを持つ女性を前ほど見かけなくなった。あきられたのか?高いから買わなくなったのか?このようにヴィトンのバックは一世代前にはパリみやげの代表でもあった。
最近、ヨーロッパ旅行に行っても自慢げに話題にすることもなくなった。それより「どこか良い温泉ない?」日本人の内向き指向も気になる。
写真のハンドバックは、陶器で作った花瓶です。
雪
breaking news 雪
昨日、出張で姫路に行ってきました。関西は12月としては思いのほか寒く、関が原・米原付近は雪で、この時期としては珍しく積雪もありました。とうぜん新幹線も減速運転で、5分遅れで姫路に到着。私はもう40年以上、月1、2回のペースで関西出張しているが、いつも冬の季節は積雪での遅れに戸惑う。
50年以上も前、東京オリンピックの前に新幹線は東京、大阪間が最初に開業した。、最初の計画ルートは、積雪の少ない名古屋から鈴鹿山脈を突き抜け、まっすぐ西に進むルートだった。ところが(自民党の大物政治家、大野伴睦)が名古屋の北の岐阜出身で地元の選挙区民への利益還元として、反対を押し切り強引に「降雪地帯、関が原」を通るルートに変えてしまった。そして岐阜の田舎の畑のど真ん中に駅を作り、付けた名が岐阜羽島駅。駅舎以外に当時は、本当になにも無っかた。
こうした一人の政治家の暴挙がその後半世紀以上、今後100年間かもしれない?観光客やビジネスマン達の冬場の移動を、悩ますことになる。
でも、車窓から眺める雪景色もたまには悪くない。
菊
菊
先月末、ご近所の八木さんから菊の花を頂いたが、この菊の色が変わっている。緑色なのである。奥さんが育てたということだが、こんな緑色の菊、以前にはなっかった。この色では虫もこないので、受粉できるのか?などと思案するが、たぶん今流行のバイオ技術などを、用いたものであろうか?
菊の花は食用になる。先日、NHKの海外向け放送を見ていたら、築地の料亭「田村」の主人が菊の花の料理方法の実演をしていた。まず、花弁をむしり取り熱い湯で軽く下湯でたあと、ざるに取り水を切る。さらに両手で絞るとなんと、あんな沢山投入したのにほんの少しの量になった。それをボールの中に入れ三杯酢で味付け、菊の花模様の染付けの器に美しく盛り完成。手順はざっとこのようだ。
国際番組で紹介するのであるから日本に花を食べる習慣のあることが、よほど珍しいのであろうか?たしかに海外では観賞用の花の料理など聞いたことがない。
写真の背景の掛け軸は、私の父が描いた菊の絵の日本画で、晩年の80代の作品だ。父は染色、日本刺繍、日本画などを職業とし、日展にも出品。工芸家として活躍していた。絵の菊は花弁の細く長い種類で、名前は細管と言ったか?定かではない。
伝統的な菊の絵と今の菊、並べて比較してみた。
白い器
白い器
最近、白無地の磁器の器が大人気だ。ニトリなどの家具屋から、百円ショップまで安価で売られている。この現象は、フランス料理の「器はキャンバス」という考えからきているのではないだろうか?西洋の油絵は白い布のキャンバスの上に画家が、思い思いの発想で絵を描き、作品を仕上げる。
フランス料理も同様に、料理人が自分のセンスで食材を盛り付け様々な色のソースでアクセントをつける。大きめの白い器に、ソースをまるで絵画を描くように皿の余白に美しくたらしていく。そのために模様や柄などは言語道断、全て邪魔。
料理人の感性が、その料理の決め手になってこそ、料理人の腕の見せどころ。皿はまさに真剣勝負の白いキャンバスなのだ。
このような理由で日本でも、急速に普及してきた白い器だが、日本人は盛り付けのアクセントに、ソースをあまり使わない。味は最初からつけられていて、各自がお好みの味に、皿の上で調整するという発想が無かったのだ。そのため一汁三采が全部白いお皿に、ただなんとなく盛られている。白なので統一感は取れる。でもいつも同じで個性や変化が無くつまらない。
そこで同じ白い器でも岩に薄く雪が積もったような、ざっくりとした自然味あふれる白い器などいかがだろうか?