サボテン

「あれ何だー、そのその変なカッコウは?」銀行に勤め始めたばかりの次女の姉が、私が中学生のある夏の夕方。妙な真っ黒い風船人形を上腕に付け自慢げに帰宅した。その姿がユニークだったので笑っていると、「あんたバカね知らないの?今これ流行り始めているのよ」姉は肩からはずしそれを私の肩にからませた。よく見ると真っ黒い人形は口から空気を入れ膨らませると、腕につかまるようにできている。そしてその大きな丸い目は見る角度でウインクした。「これダッコちゃんっていうのよ」と姉がいった。でもそれから1,2週間するとテレビのニュースでも紹介され始めて、あっという間に大流行となる。若い女性はこのダッコちゃんとよばれた風船人形を肩につけ夏の街中を闊歩した。

こうなるともう生産が追いつかない。何処のおもちゃ屋も品切れで、パンデミック(感染爆発)状態、若い女性から子どもまでダッコちゃんを捜して奔走した。われわれが子どものころは、このパンデミック現象が時々起きた。なにか新しいものに人々が飢えていた時代で、フラフープ(やり過ぎると腸ねん転になる)から始まり、ホッピング(胃下垂になる)、切手集め(小遣いの使いすぎ)いろいろな批判をかわし、次々と大流行現象が世の中を席巻した。そのたびに教育者や一部医療関係者から、分けのわからない批判が出てじきに下火になっていった。そして私が興味を持っていちじ夢中になったのが、中学時代に流行ったサボテン集めだ!

「おじさん、このサボテンいくら?」見ると普通のサボテンに丸い小さい真っ赤なサボテンが接木されている。たしか緋ボタンとか呼んでいたが「一目惚れ」すっかり気に入り買う気になったが値段を聞いたがビックリ千円もする。「千円か?とてもむりだ」あきらめて家に帰り、集めた10種類位の小さなサボテンを眺めて緋ボタンを忍んでいたが、このオヤジ臭い趣味も半年経つと熱が冷めて、縁側の軒先に置かれたままになった。そのご母親が世話をしたようだが、数年経つと一部を残し消えた。のちにイタリアの市場で真っ赤なサボテンが果物として売られていたのを見たとき時、子どもの頃欲しかった赤いサボテンを思い出した。でもこの赤いサボテンは結局食べずじまえで帰国したが、赤い実には棘があり、最近見かけるサボテンのドラゴンフルーツではなかったと思う。

最近作った写真の鉢に去年、多肉植物を植えてみた。花が咲いたので掲載する!(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎。冨岡伸一)