飲料水

以前駅のホームには必ずあった、水飲み場というのが最近ほとんど見当たらない。上に向けられた蛇口をひねると、突然水が勢いよく出てきて顔にかかる。また高く飛び出した水で、近くの人を濡らし謝った経験もある。そのた公園や公共の施設でも必ず水飲み場があり時々利用していたが、なぜか不衛生ということで消えたようだ。それにかつては新幹線の車両にも給水機があり、冷たい水を紙コップで自由に飲めたが、今の車両には全く付いてない。また井戸水もピロリ菌がいるとかで飲み水としてはあまり利用されなくなった。その代わりに喉の渇いた人はお金を払い、自販機でペットボトルの水を買うようになる。

「なんだよ、ただの飲み水を金払って買うのか!」半世紀も前は飲料水に金を出す感覚など全く分からなかったが、今は日本でも常識になりつつある。海外では水道水は汚れていたり石灰が溶けているとかで、蛇口からは直接水が飲めない国は多い。でも日本は水量も豊富で、浄水場では飲料水として直接飲むことを前提に、給水をおこなっている。東京近郊ではどこの行政でも水道水の純化には力を入れ、昔よりも水質は格段に向上している・・・。それなのに最近わが家でもアルカリイオン水に変わるという、訳の分からない高い浄水器まで設置し、その水以外は通常水道水も直接には飲まない。

昔まだペットボトルの水が普及していない頃、ミネラルウォーターといえばビン詰めの富士ミネラルだけだった?主に飲み屋で使われていて、酒代のかさ上げに利用されていた。ウイスキーボトルの水割りセットを頼むと、ピッチャーの水道水で良いのに、わざわざ富士ミネラルを2,3本持ってくる。これなら原価があるので客に数倍で売れる。実際に飲み屋に行ってママに「俺は水道水でよいから!」などとシミッタレタことを言う度胸もない。でも今のペットボトルの水だって怪しいもんだ。どこどこの名水などと歌っているが、水道水のカルキを抜いてボトルに詰めたくらいの純度しかないものも、沢山あるのではないかなと思う。

水道水が直接飲める純度の日本で、ペットボトルのただの水が本当に必要なのか疑問に思う。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

© 2024 冨岡陶芸工房 勝田陶人舎