珈琲

最近道を歩いていてもタバコの吸殻が落ちているのを、余り見かけなくなってきた。行政でも駅周辺での喫煙によるタバコのポイ捨てなどに、罰金を課するところも増え、喫煙者もこのルールに従うようになってきている。それに日本では自宅の前の道路は自分達で清掃するという意識も高く、道路にゴミがあまり落ちてない。これには観光で来日する外国人も驚き、日本観光の魅力に一つになっているという。しかし喫煙者にとっては年々肩身が狭くなる一方で、くつろいでタバコが吸えるところなど、どんどん狭められている。へたなところでタバコを吸うとまるで犯罪者のような目で見られる。このままではタバコは「無人島にいって吸ってくれ!」などという冗談めいたキャンペーンも出かねない。

「もう、いい加減にしてよ。帰ってきた姉さんが、新調したばかりのピンクのスーツの後ろを見て立腹する!」そこにはタバコの焼け焦げた痕がくっきりついていたのだ。今では考えられないが戦後暫くは灰皿のない、国鉄の通勤電車の車内でもタバコを吸っている人がいた。それにより電車が揺れたりすると弾みで、衣服にタバコの火が触れる。また座席の布張り椅子のあちこちにも焼け焦げの穴があり、中のアンコも覗いていた。以前は新幹線の喫煙席の状況もひどかった。私は仕事でたびたび神戸に出かけたので新幹線をよく利用した。すると禁煙席が満席の場合や、連れがタバコを吸うとしかたなく喫煙席に座る。その車両はほぼ全員が喫煙者のビジネスマンで、競ってタバコを吸う。車内は煙で充満し降りたときには喉もガラガラのヘロヘロであった。

「冨さん、私も禁煙席の指定でいいよ!」ええ社長って、タバコ吸ってましたよねえ。「そうだけど、喫煙席に座っていると喉が変になるので、タバコを吸う時にだけ喫煙席に吸いに行くから!」とこんな身勝手なことを言う人も結構いたので、煙で喉ばかりか眼までおかしくなる状況であった。受動喫煙というがこれではまるで、肺ガン発生率を調査する実験室の中のモルモットという感じであった。ところが最近の車両は全部が禁煙車で何両かおきに、小さな喫煙ブースが設けられているだけだ。喫煙者は3人位しか入れない狭いブースで、申し訳なさそうに順番に急いでタバコを吸う。まるでトイレに行って用を足す感覚だ!

タバコといえばやはり相性が良いのは珈琲ですかね。

(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎・冨岡伸一)

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