先日トランプ大統領がデンマーク領のグリーンランドを、アメリカが金で買い取ると発言し話題になっていた。これに対しデンマーク人は猛反発「冗談も休み休みいえ!」と怒り心頭であった。ご存知のようにグリーンランドは島というには大きすぎるが、一年中殆んどの場所は氷で覆われている。しかしこのグリーンランドの氷河が地球温暖化により、最近大規模に溶け出しているという。でも一部沿岸には町もあり、およそ6万もの人々がすでに定住している。その氷の島をトランプさんが買収したいと急に言い出た真意は、今のところはわからない。そもそも彼は地球温暖化など全く意に介さないので、氷が解ければ広大な耕作地に変わるから良いと思っているのかもしれない。

「温暖化で北極の氷がなくなるのか?」思案しながらグーグルニュースを検索していると、「水素を油田から安く効率的に抽出する方法を発見」という気になるニュースにヒットした。カナダの研究チームが開発したというこの仕組みは、既存の油田の底に酸素を注入すると中の温度が上がり、水素だけが分離され湧き出てくる。これを精製すれば簡単に安く水素が手に入るらしい。その上に温暖化効果ガスは油田の中に封印され、地表に出てくることもない。水素を取り出すための従来のシステムでは天然ガスを使用し、工場での複雑な行程で分離すためコストも高く、温暖化ガスも排出する。カナダでは水素を車のエンジンや電力発電に使えば、これから330年間もクリーンなエネルギーが確保できるという。

トヨタ自動車はミライという、画期的な燃料電池車(水素自動車)を開発した。数々の技術的な難題を克服し、やっと700万円前後で市販車を販売にこぎつけている。でも水素の供給量と価格がネックで今後電気自動車のように、普及することは無いだろうと噂されている。しかし電気自動車はバッテリーの充電に30分もかかるが、燃料電池車は水素チャージに3分程度で済み、ガソリン車と変わらない。ガソリン車より燃費も安く、環境への負荷がゼロなら燃料電池車のほうがとうぜん良い。以前あの電気自動車テスラモーターの社長イーロン・マスクは「燃料電池車など実用性が無く、全くの絵空事だ」と語った。

技術の進歩は恐ろしい。今は電気自動車が人気だが、燃料電池車の出現により突然夢が悪夢に変わることもある。水素は酸素と結合し燃えると『水」になる。(勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

板チョコ

「油断大敵、火がボウボウ。」火の燃える様を表す言葉がある。私の子供の頃、この言葉は皆さんよく使っていた。たぶんむかし江戸の町は火災が多かったので、子供にも火の扱いに気をつけるよう、いましめとして伝承された言葉だと思う。焚き火や花火など子供たちが火遊びをし、火災になる頻度も高かったのでは?と勝手に推測していた。しかし実際にはこの言葉の持つ意味は全く逆である。油断とは神社などで夜間よく見てないと灯明の油が断たれることで、ボウボウとは亡亡で火が消える様子をさすという。注意を怠ると油が無くなり火が消えるよ!という教訓だそうだ。近代になり自動車のエンジンにエネルギーとして原油が使われると、油の重要度は日増しに高まった。

現代の油断とは原油が断たれるという意味にか変わった。日本では残念なことに原油を殆んど産出しない。そのため中東の国々から遠路タンカーで石油を運んでくるが、途中にはホルムズ、マラッカ海峡や中国がサンゴ礁を埋め立て領有権を主張する南シナ海など、幾つかの難所を通る。先日そのペルシャ湾マラッカ海峡で日本のタンカーが何者かに攻撃され被弾した。「さあ、大変だ。またかつてのように石油の供給が止まりオイルショックがくるかも?トイレットペーパーが無くなるぞ!」直ぐにスーパーに出かけようという考えが頭をよぎる。でも冷静になるとなぜ石油の輸入が滞ると、トイレットペーパーをなぜ買いだめするのか?その因果関係もよくわからない。日本では過去に中東で戦争が起きるたびに、石油の供給が滞る石油危機を何度も経験している。

最近世界中がトランプさんのツイッターに翻弄されている。先日も「ホルムズ海峡などタンカーの安全航行は受益国で行なうべきだ。もうアメリカは感知しないので後は皆さんで!」と遠まわしに発言した。自国でシェールオイルの開発が進むアメリカは、中東の石油依存もなくなる。「日本は中国、インドなど他の受益国と有志連合を組みシーレーンを確保せよ」でもこの話、日本にとっては問題がある。有事のさい敵を攻撃すると憲法9条に底触する可能性が高く、簡単に自衛艦を派遣できない。「じゃ、どうすんのよ!」政府は早く憲法9条を改正する必要がある。戦後70年以上アメリカの進駐軍に国防を委ねるという甘えも、そろそろ終焉に近い。「ギブミー、チョコレート!」もうこれ以上アメリカにはチョコレートのおねだりにはできない。

先の参院選では改憲論争が余り盛り上がらなかった。でも有事は刻々とせまる・・。子供の頃好きだった明治の板チョコしばらくご無沙汰だ。

(勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

カンペイ

暑い盆休みも終わり、10日程わが家に滞在していた娘夫婦も家族を連れて水戸に帰っていった。そろそろ東京に転居を望む彼らは滞在中、市川市内での新居を捜すため物件を見て回る日々を過ごした。何でも今は住宅ローン金利が安いため、借家より持ち家の方が有利という。しかし高金利時代に育った私には今の住宅ローン金利1パーセント以下が、それほど長く続くとは思えないので多少の不安も感じる・・・。現在世界中で輸出に有利な自国通貨安を目論んだ金利低下誘導が続いている。アメリカも金利を2パーセントに変更したが、トランプさんはまだ不満でらしく一層の金利低下をFRBに強く要求している。でもこれ以上金利を下げると借金をして株を買うなど、会社の企業業績などを無視した過剰流動性による米国株バブルを誘発すこともある。

「えー、住宅担保証券の金利がマイナス0,5パーセントか!」先日デンマークの銀行が10年物の住宅金利をマイナスにして話題になった。「嘘でしょー、こんなこと絶対にありえない、金を借りると金利がもらえるのだ!」極論すればこの状態が長く続くと借金をし、その家に住んでいれば一銭も払わずとも自分のものになる。「そんなバカな、絶対にありえない。」と私は思うのだがどうも真実らしい・・・。バブルの前後に住宅ローンを組み、8パーセントの金利を払っていた我々の世代は大変だった。月額20万以上のローンを返却すれど、元本の減少は微々たるもの。結局積み立てていた退職金を取り崩し元本返済に充当し、事なきを得た。でも苦労して手に入れた我が家の地価も当時と比べると、今では4割程度である。

ところで今中国では不動産バブルが大変なことになっているらしい。各都市で建てられた多くの高層マンションが投機資金で値上がりし、庶民には全く手に届かないレベルにまで高騰しているという。居住用としての買い手のないマンションは人の住まない事が常態化しゴーストタウンになっている。共産主義でありながら貧富の差は激しく、億からするこれらの高級マンションを庶民はただ遠くから眺めるだけだ。でもこれらマンションが叩き売られると、バブル崩壊で負の連鎖が始まり、いっきに中国経済は金融危機になる。そのため定額以下での不動産売買を事実上禁止しているという。「株もそうだ!」これだけの問題を抱えている中国株が暴落しない。

「今日は何の用件だ!」証券会社の入り口に立つ警官に聞かれるという。「株を売りにきた」と答えると追い返されるらしい・・・。(今宵は紹興酒で中国にカンペイか?勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

ゴーダチーズ

もう半世紀程も前の事、一人でヨーロッパを放浪する私に男が近づいてきた。「お前は日本人か?」そうだと答えると、「俺は日本人が大嫌いだ!」といきなりきた。失礼なやつだなあと、ムッとする私に「日本人は我々からインドネシアの領土を奪った。」と続けたのだ。オランダ人だと名乗る男は、先の大東亜戦争のことを言っているようであった。当時世界は殆んどが欧米列強の植民地で独立国は日本、タイ、トルコのたった三カ国しかなかったのである。明治維新によりかろうじて植民地支配を免れた日本は富国強兵のもと、国力を増強すると植民地支配に苦しむ近隣のアジア諸国に進軍し、インドネシアから植民地支配するオランダ人を追い出した。(どうも彼はこの事を根に持っているらしかった)

そして日本が戦争に負け軍隊を引き上げると、オランダは再度インドネシアに軍隊を送り植民地支配を敢行する。しかし一部の日本兵は現地に留まりインドネシア人と一緒に戦い、紆余曲折のすえ独立を勝ち取ったのだ。この時先頭に立って戦ったのが、インドネシア建国の父と呼ばれたスカルノ大統領である。親日家の彼は戦後も度々日本を訪れており親交は続く。そして当時インドネシアへの開発援助に伴い貿易会社の秘書という名目で、スカルノのもとへ送り込まれた女性がいた。彼女は赤坂のクラブホステスだったが、後に彼の第三夫人となる。インドネシアはイスラム教なので妻は三人まで持つことが出来る。彼女はデヴィ夫人と名乗り、その後日本に帰国し現在はタレントとして活躍中である。

今年もまた終戦記念日の暑い8月がやってきた。無条件降伏をした日本は戦後アメリカ統治により、太平洋戦争はすべて日本軍部の悪行が招いた結果と、徹底的にプロパガンダされてきた。戦後われわれの受けた歴史教育では、日本人の卑怯な真珠湾奇襲により戦争は始まったとされるが、実際にはそれ以前に日米はすでに一部開戦していた。戦争に勝ってその国に侵攻し言論統制をすれば歴史を改ざんすることなどたやすい!そしてそれが長く継続されれば真実へと変わる。戦後も今年で70数年経過した「我々日本人がすべて悪うございましたという一億総懺悔!」でも日本はアジアにとって良い事もたくさんしている。そろそろ冷静に大東亜戦争の光と影を検証し、正確な歴史認識に立ち戻る必要もあるのではないか。

「シンゾウの親父は特攻隊の生き残りだったのか?ところで彼らは出撃の時は恐怖で酒や麻薬を飲んで行ったんだろうな!」「いや違う、愛国のためにシラフで命を捨てた!」と安部さんが答えるとトランプさんは痛く感激していたそうだ。(オランダといえばゴーダチーズ。勝田陶人舎・冨岡伸一)

木の葉

これは私が子どもの頃、近所の友だちから聞いた不思議なお話。「あれー、変だ?また同じ場所へでたぞ、これで三度目だ!帰り道が分からない」立ち止まり思案していると、一匹の狐が前方を通り過ぎて行ったという。「そうか、こいつの仕業か?」思い直し意識をはっきりと森の道を進むと、今度は開けた場所に出られたという。「狐は人を化かすから気をつけろよ」と彼は父親から真顔で告げられたという。「そうか、狐は本当に人を化かすのか・・・?」とその時は思っていた。子供の頃(狐に化かされた)というこのフレーズは失敗の言い訳に、日常よく使われていた言葉である。しかし文献などによれば、1965年以降はパッタリ使われなくなったという。合理的に物事を考えることが庶民にも浸透すると、迷信として葬りさられていったようだ。

キツネは人を化かす事が得意だが、イリュージョンを巧みに操るタヌキも偉大な魔術師だった。日頃世話になる和尚のために木の葉を金に変え、子供に化けて酒を買ってくる。「狸はすげえ!俺も木の葉を金にできれば自転車買えるのに」とこの時タヌキにあこがれた・・・。話は変わるが先日あのフェースブックの社長ザッカーバーグ氏が、フェースブックのユーザーなら世界中どこでも使えるリブラという、仮想通貨の普及を呼びかけた。ところが各国の中央銀行からの猛反対で頓挫した。「そりゃそうだ!」紙切れを輪転機の中で魔法をかけると、あっという間に紙幣に変身!タヌキの木の葉と代わらない夢のシステム、国が手放すわけがない。実は我々も国に騙され、タダの紙切れをお金と信じて使っているのかもしれない?

「突然ですが今お金が病気!それも悪性の血液の病です。」お金は社会の血液というが、各国こぞって安易に紙幣や国債を大量に発行し続けたために血管に詰まって、随所で梗塞しているらしい。このままでは突然死は免れないというが、特効薬はすでに無い。「だから言ったじゃん、紙幣もタヌキの木の葉と同じで刷り過ぎると、いつかタダの紙切れだとバレル時が来るって!」そして数年後に通貨の問題で世界はヤバイことになる予感がする。代わりに通貨は紙からビットコインなど実体の無いデジタル通貨となり、スマホやカードで簡単に決済が完了し紙幣も消える・・・。「ホールドアップ」と赤いスカーフで口元を隠し拳銃を手に銀行に押し入り紙幣を奪う。昔映画のこんなシーンも懐かしい。今では銀行強盗も静かな場所でコーヒーを飲み、キーボードを叩けばスマートに完了だ。

先日セブンイレブンがセブンペイなる電子マネーでの決済を始めたが、数日でハッキングにあいデーターの金を抜かれ取りやめた。お粗末!やはり通貨は金貨が一番安全とタヌキも言っている!(勝田陶人舎・冨岡伸一)

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