ペルシャ
「イランには金髪女性がいるの?」という私のこの奇妙な問いに「もちろんいるさ!数は多くないけど」と彼は答えた。もう40年以上も前のこと、イタリアのペルージャ語学学校で知りあった、ザマンと名乗るイラン人留学生と友だちになる。当時イタリアでは多くのイラン人留学生を見かけた。まだイランが親米的で宗教色もあまり強くないパーレビ国王の時代で、欧米文化を積極的に取り入れようとしていた。石油輸出も順調で多くの外貨を稼ぎ、庶民の生活は大変に潤っていた。しかしイスラム教を軽視し、国が欧米化することに断固反対した宗教指導者ホメイニが革命を起こし、自ら国家元首になると状況は一変する。アメリカの石油資本を追い出し油田を国有化!すると米国との対立が深まり、それは現在まで続く。
ご存知のようにペルシャ人(イラン)はアラブ人ではない。数千年前の民族大移動の時にヨーロッパの北から移動してきた人達なのだ。ヨーロッパの白人とはアーリア系の同根で金髪女性もいる。そのため隣国アラブ諸国のセム族(スンニ派)とは人種も言語も異なり、同じイスラム教(シーア派)でも宗派も違い仲が悪い。特に中東の同じ大国サウジアラビヤとの確執は深刻で、いつ戦争が起こるのか分からない状況だ。これにユダヤ教国家イスラエルが関わると、三つ巴になりより混沌とする。先日もイラクのバクダッド周辺でソリイマーニという、イラン革命防衛隊の司令官がアメリカのドローン攻撃にあい殺害された。このニースが流れると一瞬戦争が始まるのでは?と世界中が震撼した。
このように最近中東の地政学リスクが増大した主な要因は、アメリカのこの地域からの兵力削減、および撤退にある。自国でシェールオイル開発が進み石油輸出国になったアメリカは、もう中東の安定によるメリットもさほどない。混乱による石油価格の上昇はむしろ望むところで、後は勝手にやってくださいと匙を投げた。でも困ったことにこの現象は、われわれ日本を囲む東アジアでも起きはじめている。韓国からの引き揚げを米軍が準備をし、いずれ日本からも撤退するという噂もある・・・。直ぐにでも憲法改正など逼迫した国防懸案の議論を進める時だと思うが、新年を向かえた日本の国会ではまたいつものように、まだサクラやIRカジノ汚職問題などが激論されるのであろうか。
国会は国の行く末を議論する場所、簡単に汚職などに手を染めるレベルの低い議員の質も問われるが、国防や経済運営など真剣に議論を進めてもらいたい。
(勝田陶人舎・冨岡伸一)