マスク
もう今から40年以上前になるか?中東で突然戦争が勃発し、湾岸諸国からの石油供給が途絶えた。石油資源のまったく無いわが国は、海外からの原油輸入が百パーセントで、そのうち中東からの輸入は80パーセントを超えていた。「ガガーン、いっきに石油不足!」原油価格は急騰し、日々ガソリン価格もうなぎ登りで人々は我先にとガソリンをチャージし、スタンドには長い車の列ができた。そのころ私の関係していた靴メーカーでも接着に使用するボンドが、通常値段の5倍でも入手困難となった。そのうえ石油製品の高騰はもとより、トイレットペーパーまで買い占められなくなる始末。なぜトイレットペーパーが店頭から消えるのか?その因果が理解できなかったが、製紙会社は燃料として重油を多く使うので、操業に支障がでるとのことだった。
そしていま再び「トイレットペーパーがなくなる!」の声が上がり、店頭からティッシュなど紙類が消えかけている。うわさではトイレットペーパーは中国からの輸入なので、サプライチェーンが寸断された状態では品薄になるというのだ。しかし実際には95パーセントが日本製であるという。マスクの連想でサニタリーなど衛生用品にも不足感が出て、それが食品全般まで波及しはじめている。まだ先の見えないコロナウイルスの世界的流行は、いよいよパンデミックに突入か?もしアフリカ、インド、中南米など医療の劣悪な地域に拡大したら、とんでもないことになる。そしてこのことはコロナウイルスが寒冷でなくても感染拡大する証拠となり、日本では夏になれば収束するという希望的観測も消える。
「学校が休みになったから!」と孫が宿題を抱えて我が家にやって来た。今の若い世帯の殆んどは共稼ぎ、急の休みで子供だけの留守番に頭を抱える世帯が多い。するとまず頼るのは祖父母の実家であろうか。しかし実家に頼れない世帯は大変だ。「学童で預かりますよ」では防疫上学校とあまり変わらないのではないか?でもこれを機会にまだ職種は限定されるが、テレワークを推進する会社もではじめた。仕事は可能な限り自宅でこなし、会社には出社しない。そうすれば交通費や都会の高い賃貸オフィスも必要とせず、経費節減にもなる。コロナウイルス蔓延の休校で、いま急に注目されているのが通信などネット使用による自宅学習である。両親も自宅でのテレワーク、子供も通学のない学校や塾の出現など、近未来は職場や学校、家庭環境をも劇的に変えるかも?
たいした経済発展もなく平らかな時代であった平成。しかし令和に入ると立て続けに事件が起きる激動期に世界は移行した。政治経済の歯車が磨耗し、あちこちでギシギシと大きな異音をたてる。(勝田陶人舎・冨岡伸一)