茶飲み話・ルーブル

「はやく車を買わないと、お金が紙くずになる」とばかりに、ロシアの極東に住む日本人とロシア人夫妻はぬかるんだ雪道を飛ばし、日本車販売店へと車を走らせた。その数日前ロシアがウクライナに侵攻すると、海外との資金移動が出来なくなりロシア通貨ルーブルが日々急落し始める。お金の価値が時々刻々減少するので、手持ちの現金をとりあえず価値のある貴金属や新車購入で守ろうと、夫妻は血相を変えた。

そして代理店に到着すると、すでに残り少なくなった在庫の車を急いで見て回る。迷っている時間はない!明日になれば在庫がなくなるか、価格が上がるかも知れないのだ。結局即決でこの夫妻は340万ルーブルを支払い、スバル・フォレスターを購入して深く安堵の息をついた。いまロシアではインフレ進行で大変なことになってます。

「ヤバイことは今日本でも起きはいじめている」通常このような経済的混乱がどこかの国で発生すると、以前なら必ず日本円が買われ、為替が大きく円高に動いた。それが今回は殆んど反応しない。それどころかむしろ118円の円安に向かっているのだ。殆んどの人は為替など関心がないが、これって我々の知らぬ間に日本の国力が落ちている証拠なのです。

日本は食糧や原材料費の多くを輸入に頼ってる。数年前までは原油価格などが上がると、必ず大きく円高にふれたので原油価格の高騰を相殺できた。しかし今回のように一次産品の価格が上がり、なおかつ円安に振れるといっそうわが国の物価高騰を招く恐れがある。そして案の定ここ数ヶ月貿易収支は大きく赤字になった。対岸の火事とばかりにのんびり年金暮らしなどしていると、ある日突然日本でも経済的混乱がおきる可能性もある。

「伸ちゃん見てみな、これで一週間ご飯が食べられるよ!」と満面笑顔のオフクロが促がす。まだ私が幼児の頃、闇ルートで手に入れた高額のキラキラ輝く銀シャリが、ブリキ製の米びつに半分ほど満たされていた。この日本でも70年前はハイパーインフレにより紙幣の価値がなくなり、一週間の食いぶちで喜んでいた戦後もあった。今後インフレが過度に上昇すると、昇給のない我々年金族が最も打撃を受ける。(ウクライナから端を発したインフレ、これから年金族の家計を圧迫する。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

 

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