人として生まれ70数年も経過すると、世の中の様々な価値観の変化に戸惑う。その中の一つに「仕事」がある。戦後しばらくはまだ多くの仕事が農作業を始め肉体労働なので、健康で身体能力のまさる男性が圧倒的に有利であった・・・。「俺も大人になったらあんな逞しい身体になれるのか?」と自身の将来を描いた。そのころ夏になると屈強な男達は上半身裸で道路工事などをしていて、その陽に焼け盛り上がった筋肉からは汗が流れ出てキラキラと輝いた。
しかしそれから時が経つとあちこちの田んぼで耕運機を見かけるようになる。この耕運機のおかげで、農民は腰をかがめて行なう田植えや草取りなどから開放された。同時に土木作業などもブルトウザーや穴掘りユンボなどが登場し、ツルハシなどを振り下ろす半裸の男達も見かけなくなる。筋肉を鍛えるのは肉体労働からスポーツジムなどでのエクササイズに置き換わっていく。
近年では重機械を動かすのはオペレーターの仕事となり、ハンドル操作だけで力こぶは無用となる。でも現代ではもっと進んで大規模な鉱山などでは重機やトラックなど全てが無人で自動化され、作業員はコンピューターの監視だけでハンドル操作さえも行なわない。このように人類は徐々に力仕事から解放され、早晩肉体労働などの仕事はなくなる。日本でもコロナの流行はリモートワークなどオンライ化を進める。
「まだ余生は長い。年金も怪しいので何か楽しんで稼げる仕事はないものか?」と最近スマホなどの若い人向けアプリを覗いている。すると前にも書いたがバーチャルスニーカーを買って歩けば金になるスッテップン、エイプムーブ、そして先日見つけたのがヒビキランという好きな音楽を聴きながら散歩すればチャリン、チャリンと小銭が稼げるアプリを見つけた。でもアカウントを開設する手続きが煩雑なのであきらめた。
今の仕事に力こぶは必要ないので男女のジェンダーギャップは消えた。その代わり情報処理能力などの知的優劣が問われる時代になった。これからは人並みの能力ではコンピューターに負けるので多くの人の仕事が無くなる。先日テスラのイーロンマスクが新しい人型ロボットをお披露目した。価格は230万円で軽作業をこなす。五年後には単純労働なくなるかも!労働は神聖、汗水たらして働く!これらの言葉はすでに懐かしい響きしかない。(写真・十年前に作った茶碗。当時ほうが雰囲気あったかもね?勝田陶人舎・冨岡伸一)