茶飲み話・出稼ぎ

「いまオーストラリアでアルバイトをすると、たったの一ヶ月で50万も貯金できる!」という活字が目に留まった。疑問に思いその記事を読み進むと、28歳の日本人女性がワーキングホリデェー利用で看護助士をすると、時給2800円もらえるという。昨今の円安もあり手取りはもっとふくらむ。日本人は患者対応が丁寧で評判が良く、歓迎されているらしいる。それに患者と雑談したり、タダで英会話も習得できるので一石二鳥だ。

この情報が世間にもっと知れわたると看護士出稼ぎ希望者など、いくらでもいるのではないか!なにも低賃金で長時間拘束される日本でアクセクすることもない。日本から看護士がどんどん海外に出稼ぎすれば、看護士不足で賃金はもっと上がるかも?20年ぐらい前まではフィリッピンから多くの看護助士が病院に来ていたが、最近殆どみかけない。これは制度の変更だけでなく、賃金の問題もあると思う?

「こんなに多くの日本人が出稼ぎに来ているのか?」それは今から50年以前の北欧スウェーデンでことだ。私は大学を卒業するとすぐ、フランスに住むペンフレンドに会うためにシベリア経由でヨーロッパに旅行した。その帰り道なんとなく立ち寄った北欧で、レストランで働く多くの日本人若者と出合った。彼らは厨房の裏で皿洗いなどの下働きをしていたが、滞在2年で200万ほど貯めたと聞く。当時大卒の初任給が5万円前後なので200万は大金だった。

その頃はまだ1ドルが360円の時代で日本円の価値は低く、欧米諸国の物価が異常に高く感じた。なにしろタバコ一箱が600円もしていたのだ。しかたなく刻みタバコと紙を買い、手で巻いて火をつけるが、巻き方がユルユルで三服で指先まで到達する。しかたなくパイプタバコに切り替えたが、童顔だった私には何かしっくり来ない。やはりパイプは白髪交じりの髭面がお似合いだ。

日本がもしこのまま給料が上がらず円安が進むと、移民受け入れどころか出稼ぎに行く若者が増大するかも?戦後は貧しい日本から船に乗りブラジルなど南米に多くの日本人が移民した。その後日本が豊かになると、ぞくぞく日本に帰国する。でもその人たちも最近では再びブラジルに戻り始めている。日本は若者には夢の無い国になっちまったのか?・・・。(急速に進んだ円安も突然円高に逆転した。為替は本当に難しい!勝田陶人舎・冨岡伸一)

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