茶飲み話・大谷イズム

 

先月のWBCワールドベースボール・クラッシックでの日本チーム優勝以降、日本人の間でMLBすなわち米国メジャーリーグのテレビ視聴が、大変な人気である。日ごろニュース以外ほとんどテレビを見ない自身も、エンジェルス大谷君の出場するゲームは時間が合えば、欠かさず見ることにしている。この傾向はなにも日本に限ったことでなく、他国でも同様なので恐れ入る。

大谷君の魅力は何もピッチャーとバッターの二刀流での並外れた活躍だけでなく、その大柄で端正なルックスと、彼の人柄からにじみ出る言動にあると思う。バッターボックスに立てばゴミを拾い、ベースに滑り込んで相手の野手のユニホームを汚せば、砂をはたいてあげたりもする。これらすべての行為が自然に出来るので、彼の人気がますます高まるばかりだ。

「郷に入っては郷に従え」の諺もあるように、通常日本人は他国などに行くとその国のカルチャーに準ずる行動をする。一年であるが短期イタリア留学の経験を持つ私も、帰国する頃にはイタリア人の真似をし、身振り手振りのオーバーなジェスチャーを交えての会話を心掛けた。この心理の根底には、どこか欧米に対するコンプレックスが潜んでいたのではないかと思う。

しかし大谷君は違う。アメリカに行っても礼儀作法など日本人の精神文化を決して曲げない。試合中にクチャクチャガムを嚙むこともなく、ヒマワリ種の殻などを吐き出すこともない。確かに欧米は日本より乾燥した気候なので常に喉が渇く。そこでまめな水分補給やガムなどをかんで口の渇きを癒すことになる。でもガムやヒマワリ種は、礼節を重んじる日本人にはなじまない。

「スポーツ史じょう初めて侍魂をアメリカにもちこんだ大谷君!」これに対する評価は非常に高い。最近大谷君によって日本文化が再評価されている。日本人の礼儀正しさやマナーの良さ、おもてなしの心、気遣いなどだ。今まで異質とされてきた日本文化に海外の人々が学ぼうとする、ジャパンスタンダードも起こりつつある。(兜までベンチに持ち込む大谷君の日本文化啓蒙ミッションに対する期待は大きい。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

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