茶飲み話・築地

 

ゴールデンウイークも終わり、木々の緑が増す季節になっても訪日外国人数はいっこうに減らない。いま世界を見渡すと一触即発の危険地帯が多く、女性や年配者の旅行は敬遠される。そこで安心安全が売りの我が国に旅行客が集中することになる。そのうえ円安で物価は安く、自然が豊かで観光地も豊富とくれば文句のつけようもない。

「日本の清潔なシャワートイレは最高!」と喜ぶ外国人観光客が殆どだが、同時に日本の食文化もすこぶる評判が良い。レストランでの食事やコンビニでのパックランチ、菓子類にいたるまで、値段のわりにはクオリティーが非常に高いと言う。しかしこれは基本食材の良しあしで決まり、農、漁業従事者の食材に対する徹底した管理によるところが大きいと思う。

これから未来を見つめると急激なテクノロジーによる世に中の変化は予想しがたい。だがどんなに世の中が変わろうとも生身の人間である以上、食事と排泄はついてまわる。うまい食事にきれいなトイレ!これは日々生活の根幹をなすもので人類の最重要事項だ。でも他国の人々はここに意識があまり向いてない。ジャンクフードに汚れた公衆トイレでは美しい観光地の魅力もうすれる。

最近、築地場外市場には多くの外国人旅行客が訪れている。魚河岸はすでに豊洲に移転し場外市場だけがこの場所に残ったが、銀座に近い地の利から現在では外国人の食べ歩き観光スポットになった。でも実際には食材や寿司などの飲食も別段他所より安いわけではなく、オノボリサン御用達の昭和レトロのノスタルジック・飲食テーマパークといったぐあいだ。

「日本人は本当に魚を生で食うのか?気持ち悪い!」とケゲンナ顔でよくきかれた。もう40年以上も前のこと、ヨーロッパを列車で移動していると比較的魚を喰うイタリア人も、魚の生食は考えられない様子だった。ところが今はどうだ!刺身や寿司を喰いに欧米から沢山の人達がやってくる・・・。(イタリアにはカルパッチョがあるという人がいるが、生魚のカルパッチョは日本人の発案です。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

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