最近先進国では、ベーシックインカムの導入が本格的に議論され始めている。ベーシックインカムとは国民全員(老若男女)に生活費として、一定金額を毎月支給する制度である。これにより子沢山な家庭などでは金銭的負担は軽減されるが、基礎年金、生活保護費、児童手当なども廃止されるので、支給額によっては損得勘定が生じる可能性がある。
日本政府は近年マイナンバーカードの普及に熱心である。先日も「マイナンバーカードを収得するとポイントで2万円差し上げますよ」と飴をぶらさげた。まき餌につられ、パックっと喰らい付けば預貯金など金融資産額は把握され、金を動かすと課税対象になることもある。資産家はこれを嫌い登録を後回しにしようと警戒するが、余分な金などない庶民にはどうでもよい話である。でもマイナンバーカードとベーシックインカムはリンクされるので、最終的には誰も登録から逃げるわけに行かない。
「なんでベーシックインカムなんて必要なんだ」と単純に思うあなたはめぐまれている人かも。いま先進国では所得格差が広がり、貧富の差が著しく拡大している。一人で数兆円の資産を持つ人もいる反面、多くの庶民は低賃金で貧困にあえぐようになった。このままでは勤労者よりも、働かないで生活保護のほうが受給額が多くなることもあるので問題だ。そこで国は生きていく最低額を全員に支給し、それ以上は自分で稼げ!ということになる。収入が規定より多い人はあとで税金と一緒に回収される。
「ああ、俺もとうとう失業か」と口びるをかむ。AIやロボット導入による著しい作業の効率化は、一方で単純労働の失業者を多く生む可能性があるのだ。この先これらの人々をいかに救済するかは国の重要なテーマとなる。最近よく行くコンビニでも見慣れないレジがセットされた。今後はデジタルスキルのない人の就労は難しくなるかも。
ところで今年から高校の授業では家庭科の時間に、株式投資の方法を生徒に教え始めるという。大半の日本人は株式投資などはギャンブルで、まともな人間のすることではない!というモラルに縛られてきた。それが政府の肝いりで180度転換し、投資教育の推進とは、就労では満足に稼げない閉塞感の強い日本の未来が透けて見える・・・。(岸田総理の増税による分配と繁栄のスローガンは、すでにベーシックインカムの序章であるのか?勝田陶人舎。冨岡伸一)