山すそに沿った道を左におれると、太い孟宗竹の生い茂る森の中にポッカリト廃屋がたっている。人の住んでいる気配もなく、半ば朽ちかけているこの廃屋を、私は雀のお宿と命名している。
木漏れ日に映し出されるこの廃屋を、ただ佇んでじっと眺めていると、まるで信州信濃の山奥まで尋ね来たような錯覚に陥る。
そして曲がりくねった道を進むと、農家の集落が現れる。昔ながらの萱葺き屋根を金属の板でスッポリ包み込んだ古屋。長屋門を構えた家など、どれも広い敷地にドッシリトたっている。表札を見ると松戸さん、蜂谷さんが多い。たぶん皆さんこの地に長く住み、互いに姻戚関係なのだろう。
村落の中央を左に折れると、円福寺という寺がある。この境内に聳え立つ銀杏の大木は実に見事である。四方に張り出した枝ぶりバランスが良く、樹齢何百年か定かではないが、たぶん5、6百年はたつのではないか。
境内の左手の階段を上ると、小さな観音堂がある。訪れる人もあまりいないようで、落ち葉の積もった庭にひっそりたたずむ。
さらに右手の階段を上るとそこには墓地だ。どれも黒御影石の大きな墓標の立つりっぱな墓だ。墓の前の祭壇には常に花がたむけられ、地元の人々の先祖の霊を慰める意識の強さが感じられる。
前方に眼を向けると、梅林が広がる。春先にはいつも花の香りを楽しめるが、梅ノ木の寿命は短く、盛りを過ぎていて精彩が無い。
前の道を直進すると、勝田台病院見えてきて、工房に戻る道へと続く。
以上、私の20分の散歩、四季おりおりに楽しめる。ぜひ一度訪れてみてください。
日常を忘れられますよ。