パニーノ

ペルージャからローカル列車に乗り、人家もあまりない田舎のテロントラという終着駅で降りた。ホームを移動しローマから来るの本線の急行列車に乗りかえる。その日は市場調査のためにフィレンッエを経由してミラノに向かう行程だ。コンパートメントの客室に腰をおろし外を眺めると、遠くの山並みの下に続く小麦畑は収穫時期を迎え茶色く色付き始めている。しかしこの小麦畑、日本と違いどこもかしこも真っ赤だ。雑草の赤いポピーの花が原因だが、このポピーの繁殖力はものすごく、ほとんどの畑が血の色に染まる!見ている分には綺麗だが小麦の収穫には相当影響するのではないかと思った。春のイタリアの田園風景はまさに赤、緑、白(畑、木々、空)の三色国旗の色である。

腹が減ったのでテロントラ駅の売店で買ってきたパニーノをかじるが、(パニーノとはイタリアのサンドイッチで、最近日本でもこの言葉は普通に使われ始めた)これが実に旨い。バケットの固いパンに薄い生ハムが5、6枚挟んであるいたってシンプルなサンドイッチだが、その塩加減と脂分が絶妙のバランスでよい。イタリアではどこのバールのガラスケースにもたくさん並んでいて、指を刺せば簡単に紙に包んでくれる。手軽に食べられるパニーノはイタリア人のオニギリのようなもので、もっとも人気のある食べ物の一つである。

出発から5時間かけてやっとミラノの中央駅に到着した。ここからミラノの繁華街、ドーモ周辺に向かうため地下鉄の駅を捜す。入り口の階段を下り切符売り場に向かい、自販機に小銭を投入し切符を買かった。財布をコートのポッケットに戻したその時だ!小学生低学年くらいのジプシーの子供達が勢い良く寄ってきて、あっという間に囲まれた!手にはそれぞれオフェルト(お恵みを)と書かれたダンボールを持ってる。そのダンボールをグイグイ私の体に押し付けてきた「何をするんだ!」と振り払うと子供たちは蜘蛛の子を散らすように立ち去った。余りにも一瞬の出来事なので、思考が完全にフリーズ。あわててポケットの財布を確認したが。「案の定ない!」でもこんなこともあるだろうと、財布には常に小銭しか入れてなかったので事なきを得たが、スリは財布の出し入れの場所を目で追っているので海外では特に気を付けたい。

パニーノは最近一部の日本人にも人気がある。でもパニーノは本場イタリアのプロシュートでないとあの味は出ない。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

© 2024 冨岡陶芸工房 勝田陶人舎