茶飲み話・お使い
「初めてのお使い」という日本のテレビ番組が、海外で話題になっていた。まだ3,4歳の子供がお母さんに頼まれて500メートル位離れた八百屋に、夕飯のカレーライスに入れるニンジンと玉ネギを買いに行く。しかし途中で忘れて玉ネギだけを買って帰る。するとお母さんは「これではカレーライス作れないね」と言い、再度買い物に向かわせるストーリーのようだった。
でもたったこれだけのことが海外では大きな話題になってしまう。幼児が一人で買い物に行くなど言語道断!もし誘拐されたり、交通事故にあったらどうするのだ。「これは完全に児童虐待にあたる」といった具合だ。500メートルも離れれば信号機の一つや2つはあるし、不審者に遭遇する可能性も無くはない。欧米では現在13歳以下の子供を一人で外出させるのは罪に当たるそうだ。
しかし私の知る限り、半世紀依然のヨーロッパは今と違って秩序も保たれ安全だったと思う。その頃はキリスト教のモラルもまだ健在で、移民の流入もずっと少なかった。それがヨーロッパ諸国の国境がなくなりEUに統合されると、東欧や後進国から移民がどっとなだれ込む。労働力増加で経済的には多少うるおうが、代わりに危険と背中合わせで生きる国に変貌した。
私の住む市川市には私立の小学校が何校かある。ここに通う小学生の多くは一人で電車通学をしている。まだ低学年の児童がランドセルを背負い通勤時間に電車に乗る姿を見ると不安感も多少残るが、事件や事故に巻き込まれた話は殆ど聞かない・・・。しかし子供の電車通学も外国人から見ると危険極まりない行為のようだ。
日本では幼児の頃より、赤信号では絶対に道路を横断するな!の教育が徹底され大人になる。そのため車が来なくても信号を守る人が多い。「深夜の信号まで守る日本人は馬鹿だ」という外国人もいる。でもルールには例外規定を作らないことが大事なのです。(列を作って整然と乗車する。信号は絶対に守る。だから児童の電車通学も可能なのだ。勝田陶人舎・冨岡伸一)
時
茶飲み話・時
「今日は何をテーマに書こうか?」などと考えても一向に浮かばないこともある。もう一時間ほどキーボードを眺めるが何も進展しない。こういう時は自分が過去に陶芸を始めたきっかけなどを書いてみるのもよいのかも・・・。そもそも私の場合、その原点は青春時代の過ごし方に起因する。当時は自分の将来に希望が見いだせず暗中模索で過ごした。
元来学校や会社などの組織に身を置くのが大嫌いで、出来れば避けたいと常に願っていた。でも経済学部などに進んだ私には、とりあえずサラリーマンになる以外の選択肢は思い浮かばない。そこで紆余曲折はあったが、とりあえず会社勤めをすることになる。でも運よくシューズデザインという職種に出会い、その会社で3年間サラリーマン生活をした。
その後会社を辞めフリーランスでデザイン活動を続けるが、いつも心の片隅にあるのは「この仕事って、自分のライフワークでないはのかも?」の問いであった。しかし結果として70歳過ぎまで仕事を継続することになるので、適職であったことに相違ない・・・。でもアートがしたいの欲求は強く、並行して40歳の時に陶芸を習い50歳で工房を立ち上げると、しばらくの間は陶芸の面白さにはまる。
「休日などいらない!」と勢い込んだ!その頃は週4日浅草のデザイン事務所に通い、週3日八千代市の工房に出かけた。でもこのバランスが実によい。好きなことを仕事にしているので、陶芸に飽きれば浅草に行き、喧騒を感じると森を眺めロクロを回す。休みなどなくてもストレスとは無縁だった。なにしろ両方とも趣味が仕事なので気楽なもんだ。(今となれば余裕で言える、笑)
そして70歳を超えた今、工房横にそびえる木々の梢がゆっくりと風に揺れる姿を、ただボーと眺める時間が増えた。そして思うのだ「自分はこの時を手に入れるために人生を歩んできた」と。過去の思い出など歳と共に浄化され濁りは沈殿し、どんどん澄んでいく・・・。(将来、年を重ね抹茶をすすりながら昔語りでも。今まさにその只中にいる。勝田陶人舎・冨岡伸一)
御フランス
茶飲み話・御フランス
我々が青春時代にあこがれていた国はなんといってもフランスである・・・。「これ、御フランス製ざあます!」とマダムをきどる女性が言えば羨望のまなざしで見つめる。なにしろ全て高級とされたフランスには「御」をつけて敬意をあらわした人もいて、今考えるとなんとも滑稽であった。そう言う私もフランスかぶれで、日本人には難しとされたフランス語の習得に時間を割いた。
特に当時流行っていたシャンソンが好きで、原語で「枯れ葉」を歌えたらカッコイイ!のノリで懸命におぼえた。事実フランス人の前で枯れ葉を歌ったのだから、かなりいい度胸していたと思う。そのほか印象派の絵画や、ボードレールの詩、サルトルの哲学、ディオールのモードなど多方面に興味を抱いた。当時は「ああ、なんでフランス人に生まれてこなかったのだろう!」ぼやくことしきりだった。
ところが半世紀も経過すると、フランスに対するあこがれは徐々に消え、今ではエルメスやビトンのバックすら誇らしげに持つ日本人は少ない。私自身も現在はすっかり日本回帰で神道や仏教に興味を持ち、神社仏閣を訪ねる旅をしたいなどと心境の変化著しい。最近時間があると明治神宮を度々参拝する。そのつど森に囲まれた神宮を拝むと「ああ、日本人に生まれて本当に良かった!」と感謝の念だ。
時代とは面白いものでフランス本国では、今空前の日本ブームであるという。特に日本のアニメで育った若い人たちにこの傾向が強く、食事やJポップ、原宿ファッションや温泉など日本文化にあこがれが強く、日本語を学ぶ人も多いようである・・・。まさかあの利己的なフランス人が「ボンジュール」でなく、「こんにちわ」などと頭をペコリと下げる時代が来るとわねえ!
ところが今そのフランスで大変な事が起こっている。警察官の停止命令を無視したアラブ系の若者が銃で撃たれ死亡した。するとそれに抗議する移民集団が各都市で暴徒化し、略奪や破壊活動を行っている。この原因は労働不足を補うために安易に多くの移民を入れたためだ。エレガントであこがれた、あのフランスが外国人に占拠され崩壊の危機に・・・。(移民を多く入れれば日本も壊れる。勝田陶人舎・冨岡伸一)
風車
茶飲み話・風車
「冨岡さんも次に車を買い替えるときには電気自動車EVですね」とホンダ代理店の営業マンに告げられたのが、一昨年の夏の事である。「そうなのか?」その時は漠然と感じていたが、最近ではその言葉が現実味をおびてきた。しかしEVが急速に普及し始めると、理想の車に見えていたEVにも様々な欠陥が露呈し始める。
特に冬場は零下20度にもなるとモターが始動しなくなることもあり、これでは豪雪地帯で車内に取り残された時などは命取りになることもある。それに暖房で車内を暖めるとヒーターに電力を使い走行距離が急減する。その他バッテリーの寿命が短い、下取り価格が安く充電時間も長いなど、まだ多くの課題が残っている。
そこで最近に注目され始めたのが水素自動車である。水素自動車には水素で発電する燃料電池車と、水素をガソリン車と同様に燃料として使う水素エンジン車の2種類ある。燃焼すると水になる水素自動車は、先行するEVと同様に将来エコカーとして普及する可能性が高い。特にトヨタ自動車はこれらの技術に優れており、世界的に注目される企業の一つだ。
「水素社会の実現にむけて!」環境省ではいま石炭や石油といった化石燃料からの脱却をめざし、水素をエネルギー源として使う脱炭素社会を目指している。しかし太陽光や風力発電で水素を作るには膨大な設備投資が必要だ。雨の多い日本は基本太陽光発電の効率が低いので、遠浅の海に設置する洋上風力発電が注目されている。
風力といえばその原点は子供の頃に遊んだカザグルマがある。四角い折り紙をカットして竹串を中央に通し、エンドウ豆で紙を留める。それを屋外で風上に向けるが、風がないと回らない。そこで風車を手で高くかざし走りだす・・・。風車は勢いよく回るが足元から目を離し、石につまずきスッテンコロリン!(当時ほとんどの道は砂利道で、梅雨時などは水たまりを避けながら歩いた。勝田陶人舎・冨岡伸一)
ゴミ箱
茶飲み話・ゴミ箱
「ゴミ箱がないのに、なぜか街が清潔で不思議?」これはいま日本観光に押し寄せる多くの外国人が抱く、素朴な疑問の一つである。確かに公園や駅には必ずあったゴミ箱が、今では見かけることは殆どない。唯一ごみ箱が置かれる場所はコンビニと新幹線ホームぐらいだと思う。それもプラスチックや燃えるゴミなど分別投入する必要がある。
先日も市の公共施設を利用し、ゴミ箱を探したが見当たらないので職員に聞くと、「ご自身でお持ち帰りくださいの返答だ!」唯一自販機の隣にはゴミ箱らしきものが置かれるが、あくまでビンと缶専用のリサイクルボックスであり、ゴミ箱ではない。街からゴミ箱が消えた直接の原因は、オウム真理教がゴミ箱に爆弾を仕掛けたことに由来するが、もう30年近く前の話である。
「近頃、街行く男性のほとんどがバックを携えている!」しかし男性がバックを持ち歩くようになったのは比較的最近の事だ。私自身も昔は手ぶらで何処へでも出かけた・・・。スマホやスイカなどのカードもなかった頃は現金をポケットにねじ込み、財布も持ち歩かなかった。すると硬貨がポケットで揺れ穴があく。
ところが私も携帯する物が増え、バックは必需品となった。おかげで自身のゴミも自宅に持ち帰ることも出来る。今はレジ袋も有料なので飲料水などもバックに詰め込む。しかし欧米では普段男性はバックは持ち歩かないようで、日本男性がバックを持つ姿を見て、女性みたいだ!という。でも現在ではゴミ袋としての役目もあるのです。
コロナが終息すると世界的に異常な日本ブームで、たくさんの外国人がやって来ている。彼らの目的は観光や飲食のみならず、自国とは全く違う社会制度を体感する目的もある。「ゴミ箱がないのに街がきれい!」これも外国人らからすれば不思議国日本のCOOLな一面なのかも・・・。(最近どこを歩いても本当にゴミが落ちてないですね。確かにこれは脅威だ!勝田陶人舎・冨岡伸一)