茶飲み話・磁石

 

私が小学生の頃、教材やオモチャとして注目されたのが馬蹄の型をし、プラスマイナス、赤と青で塗り分けられた磁石である。理科の授業でも使われたこの磁石を、校庭の砂場に持ち込み表面を滑らせると砂鉄がつく。この砂鉄をむしり取り紙の上に乗せ、下から磁石を近づけると砂鉄が躍る。なんとも不思議なこのマジックが私は大好きであった。

「ところがだ!」ある日、クラスで隣の席の川島君が長方形の小さな棒のような磁石を学校に持参。今までに見たこともない数個の磁石をくっ付けたり、反発させたりとマジックのし放題!「その磁石俺にもくれ」と頼むと「家に来ればやるよ」との返事だ。そこで私は当時、南八幡の田んぼ隣にあった磁石工場隣接の彼の家を訪れた。二人で遊んだ帰りに彼から手渡された数個の棒磁石はしばらくの間、私の宝物であった。

時代が変わると今その磁石は、電気自動車や風力発電のモーターなど脱炭素化に必要な、重要素材として非常に注目されている。ところが高性能な磁石に必要なネオジウム、サマリウムコバルトなどの希土類はほとんどが中国で産出し、独占状態になっていた。もともと高度な磁石を作る技術は我が国のメーカーが保有していたが、いつのまにか技術を盗まれ今では彼らの後塵を拝している。

「それ見たことか!目先の利益に目がくらみ中国などに進出すると、いつも彼ら罠にはまる」。あろうことか中国は先日これらの技術を中国が独占し、輸出禁止にすると宣言した。こうなると困るのは西側諸国のEVメーカーなどである。磁石がなければ電気自動車の量産は難しい。狡猾な隣国にすり寄ればいつも約束は反故にされ卓袱台返しに合う。

「でも心配ご無用!」日本地図を広げると、硫黄島の東側に南鳥島という小さな離島がある。そして最近この島に近い深海では希土類など磁石に必要なレア・アースが大量に発見された。政府もいよいよ来年度から発掘に乗り出すので、期待がふくらむ・・・。(日本の領海には魚など水産資源のほかに様々な鉱物資源も眠っている。勝田陶人舎・冨岡伸一)

 

 

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