ホンビノス
先日ホンビノス貝のボンゴレが食卓に上がった。なんでも東京湾の浅瀬では最近アサリ、ハマグリの他にホンビノス貝が沢山採れるという。北米原産の大きなアサリに似たこの二枚貝は、貝の幼生が貿易船の船底について日本にやって来たらしい。だが最初は厄介者として敬遠されていたこの貝も、数が増えるにつれて食材として注目されるようになる。アサリより肉厚のその身はハマグリのような香りはないが味はマアマアである。私は二枚貝では赤貝、ホタテ、タイラ貝が好きだ。でも二枚貝は種類も多く、なかには真珠をとるアコヤ貝のように食用に向かぬが、貝殻の内側が虹色に輝く非常に美しい貝もある。太古にはこれら珍しい貝は物々交換の代わりに、貨幣のとして代用されたこともある。漢字では確かに貨幣の貨の字は貝が化けると書く。
ちかごろ「貨幣って、一体なんだ?」と考えることがある。貨幣は初め美しい石や貝殻などが代用されていたが、そのご金、銀,銅などのメタルにと変わる。とりあえず一番美しく産出量の少ない金の価値が高く、銀、銅がそれに続いた。そしてこれらはその後コインに加工され、世の中に流通し始める。そして次にメタルは重いので、いつでもコインと変えられる借用書の形で紙幣が発行された。ここまではジジイの私でも理解できる。しかし近世になり銀行が設立されると、貨幣は通帳の中に記載される数字に化ける。お互いの通帳の数字だけが瞬時に飛び交い決済は完了する。このときは実際には紙幣すら必要ない。そのため実際に世間で流通している金額の十分の一しか紙幣の発行量はなく、もし我々が通帳の金額をすべて現金に変えてたら、すぐに紙幣は枯渇するという。
「ビットコインて一体何だ」最近ビットコインと呼ばれる仮想通貨の話が良く話題になる。しかしこの実体がよく分からない。それも当然で実体がないから仮想通貨と呼ばれているらしい。何でもインターネット上での電子決済に使われているそうで、パソコンやスマホの中で流通するという。ブロックチェーンともいう、このシステムはデータベースがサーバーによる一元管理でなく、各自のパソコンやスマホの中にデータが共有されるので、改ざんが難しく安全という。クリプトカレンシーとも呼ばれる仮想通貨は紙の預金通帳すら存在しないのである。財布をいっさい持たないで買い物できるのは便利だが、もしデーターが消えたら虎の子を全部失うのか?いや自分のパソコンのスマホのデータが消えても、他者のパソコンやスマホにデータが残るから問題ないという。
でも太陽の黒点が活発になり、強力な磁気嵐が吹き大規模な通信障害が長期に起きて貴重なデータが消えたら、俺の仮想通貨の100億も一瞬にしてパーだ。やはり貨幣は仮想で無く実体のあるゴールドがベストだと思う。
(勝田陶人舎・冨岡伸一)