カッチャトーレ
カッチャトーレとはイタリア語で猟師(狩人)のことをいう。確かイタリアのバックブランドでも、この名の付いたものが昔あった。狩人が銃を構えた図柄プリントのバックで、一時人気があったので御記憶の方もいると思う。でも今もこのブランド、あるのかどうかは分からない。一方同じリョウシでも海の漁師はペスカトーレという。そしてこの二つ「リョウシ」イタリアでは料理法としてしばしば登場することがある。ペスカトーレは魚、海老などの魚介類、カッチャトーレは鹿、ウサギなど野生動物の肉、これを野菜やトマトなどと一緒に煮込めば、海の幸、山の幸のワイルドなリョウシ料理が出来あがる。日本には北海道のチャンチャン焼き、千葉県ではナメロウなど漁師料理は各地に点在するが、猟師料理は余り聞かない。
「ええ、これ500万円もするんですか!」猟銃の鉄の部分にはびっしりと彫刻が施されていた。30年以上も前、神戸の靴メーカーの社長達とツアーを組んで、イタリアの靴見本市に視察に行ったことがあった。たまたま同室であったその一人がミラノの銃砲店で、芸術品のようなこの銃を買ってきた。「銃なんか買って、日本に持ち込めるんですか?」と聞くと「この銃前から欲しかったんだよ。もちろん許可証があるから大丈夫さ」とのこと。この銃を買うために彼は700万円ほどを持参したということであった。金持ちなのに同室でも別に食事などご馳走してくれたわけでもなく、地味な金使いが印象的であったが、オモチャには大枚をはたいていた。当時はまだ狩猟を趣味とする人も多く、解禁日になると山に分け入る人もいたが、最近ではめっきり減った。
先日ニュースを見ていると、山里ではクマ、サル、シカなどの野生動物の被害が急増とのこと。マタギなどの職業も無くなり、狩猟を趣味にする人も余りいない。適当に間引かないので個体数が爆発的に増えているという。鳥獣被害により山での生活が成り立たなくなり、村落を後にする人も多いと聞く。動物愛護の声が増しカラス一羽殺せない。猟銃でシカなど撃つシーンが放映されれば可哀そうだと非難ごうごう・・・!野鳥の数も増え、厄介な鳥インフルエンザを媒介する。またイノシシの急増は豚コレラの伝染も心配だ。この状態を放置すると日本の養鶏、畜産業も壊滅的打撃を受ける。林業も衰退し木を切り出しても二足三文。耕す畑は野生動物の餌場。高齢化も進み若者は山里には戻らない。
いま日本では多くの土地が相続されずにほったらかし、固定資産税がかかるのでタダでもいらないという。マイナス金利同様マイナス価格の土地も出ている。(勝田陶人舎・冨岡伸一)