変身
私が若い頃に読んだ本の中に、ドイツ人作家カフカが書いた「変身」という小説がある。詳しい内容は忘れたが、あるひ布地のセールスマンであった主人公が朝目が覚めると、大きな毒虫に変身してしまうという奇妙な物語が綴られていた。衝撃的内容であったので今だに記憶に留まっている・・・。
でも最近私は自分が早朝に目覚めると、ロボットに変身していることを夢想するようになった。いまの科学技術の進歩は凄まじい。環境保護の次のビジネステーマはいよいよ宇宙だという。人類は地球から他の惑星に飛び出すことを目標に掲げはじめた。
でもその時に問題となるのが時間と言う制約である。宇宙は地球上と違って、とてつもなく広大で人類の生命時間など一瞬である。すると宇宙を目指すにはどうしても水が主成分の肉体を脱ぎ捨てる必要がある。そこでコンピューターと同じ原理の脳の記憶データーを取り出し、全てデジタル化してハードディスクのような記録媒体に移し代えれば、水も空気も必要ないAIの頭脳と金属製のロボット体に変身できると思う。
そうすれ人は仏教で言う全ての煩悩から開放され真の意味で自由になれる。五欲もないので四苦八苦の苦しみもなく不老不死になる。光のエネルギーを直接体に吸収すれば、飯も喰わずにどこの銀河の惑星にも飛んでいける。でもこれって単なる絵空事でもない。人類がこのまま進歩し続ければ、いつか必ず肉体は邪魔になるはずだ。
「冨岡さんあなたの生命はもう直ぐ絶える。今ならロボットとして再生できますけど、いかがですか?」そうだ自分は一週間前に医師からそう告げられ、不老不死の金属の体を選らんだのだった・・・。そろそろ地球上の生命体も飽きてきたので、隣のアンドロメダ銀河に向かう宇宙船に乗る心の準備をしよう。
(とりとめもない幻想から覚醒するためには、いっぷくの抹茶が効果的ですよ。抹茶の泡の一つ一つがまるで沢山の星星のように美しい。勝田陶人舎・冨岡伸一)