茶飲み話・肥料

ウクライナとロシアの戦闘がいつ収束するのか、現在では全く予測できない状況である。明日かも知れないし、数ヶ月先になるかもしれない。しかしここで困ったことがある。それは春を向かえ、世界有数の穀倉地帯でもあるこの地域で種まきが出来ないと、小麦などの穀物が供給不足になる。現地では戦争によりインフラは破壊され、農業従事者も戦闘に巻き込まれている。

またロシアは現在主要な肥料生産国でもある。そしてその多くが輸出に回されるのでロシアからの供給が止まると、世界中の国々への農業に対する影響は大きい。もちろん日本も例外でなく、肥料不足による反収減少はエネルギー問題と重なり、まさに高インフレに導くダブルパンチである。ウクライナ問題をきっかけに日本も長かったデフレも終わり、物価高に悩まされる新たなフェーズに入っていくだろう。

「日本のトイレって、どこも感動的に綺麗!」とは来日する外国人がだれでも口にする言葉である。ここ二十年で日本のトイレは劇的に変わった。それは市町村単位での下水道の整備とともに進んできた歴史がある。私が幼児の頃は近隣の農家が堆肥を作るため、木桶をリヤカーに乗せトイレの汚物を集めにやって来た。農家ではそれを肥溜めに移し、数ヶ月寝かしてから肥料として畑にまいていた。これは究極の循環型農業であったが、生野菜は食べられなかった。

その後日本でも化学肥料が普及し始める。すると汚物の集配は農家から行政の仕事に変わって行く。そして新たなバキュームカーの登場により手作業の集配は消えた。また近年では下水インフラが整備され、バキュームカーすら見ることもない。肥料不足などと聞くと、たかだか65年前の状況を思い出す。

とこれで私は知らなかったが、窒素、リン酸、カリなどの化学肥料は今では天然ガスなどから生産するらしい。ガスという気体から、どのようにして粉末である化学肥料に変えるのかは知らないが、ロシアによる天然ガスの供給停止は意外なところに影響を及ぼすようである・・・。(写真・春になり盆栽の苔が美しいので掲載。戦争による物価高には注意です。勝田陶人舎・冨岡伸一)

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