ソーセージと聞くと魚肉ソーセージを思い浮かべる幼児期もあった。そのころ今の可愛らしい小さなウインナーソーセージなどは、まだ一般の肉屋などでは手に入らず、あったとしても高価だったと思う。その代わり庶民の食べるソーセージは肉の代用品として、蒲鉾と同じように魚肉を加工して作ったソーセージが販売されていた。マルハ、日水、ニチロなどの漁業関連会社の魚肉ソーセージは味に多少の差があって、私はどちらかと言うとニチロが好きだった。少し粗引きで1センチ位に切って油で炒めると、弁当に入れても魚臭さが消えて魚嫌いでもなんとか食べられた。母親には[ソーセージはニチロにしてね!」とお願いしていたが、いずれにしても旨くなく低レベルな味の差である。
先日、工房から自宅に帰る京成電車に乗車したら、あまり品のよくない親父が私の前の席に腰をおろした。すると直ぐに彼はスーパー袋から発泡酒の缶ビールを取り出し飲み始めたが、何口か飲むとビール缶をゆっくりと座席の上に置くので、私は揺れる電車で缶ビールが倒れないか気になって見ていた。すると袋を探り次に取り出したのが、あの懐かしい魚肉ソーセージである。「魚肉ソーセージってまだあったのか?」久しぶりに見るその「ピンクの色っぽい御姿」を拝見していると昔のことが頭をよぎった。彼はそれを両手にとり包装紙をやぶくと、左手でソーセージ握り右手でビール缶を持ち、「ビールをゴックン、ソーセージをパックン」旨そうに何度か繰り返す。
「通勤電車の中で一人宴会ですか」酒と魚の臭いがこちらまで漂ってくる。でも宴は10分程で終わり、缶ビールの空き缶を座席の下に置いたまま、船橋駅で降りていった。さいきん日本人の全体としてのマナーは向上したと思うが、現代人は忙しくてゆっくり食事をとる時間がないのか、むかしとは逆に電車の中での飲食は増えているような気がする。私としてはペットボトルのお水以外、通勤電車での飲食は原則禁止にして欲しい。携帯電話の使用に関しては今だに注意放送がアナウンスされるが、飲食についての放送はほとんど聞いたことがない。通勤電車の中での化粧と飲食は原則禁止にしてほしいものだ。
写真ですが魚肉ソーセージも、このお皿に乗せれば少しは旨そうに見えますかね?はし置きはイカです。(千葉県八千代市勝田台、勝田陶人舎)